俺が頼んだ能力は神達の中での普通じゃない!!

白林

ティナの闘い。④finale

 シャリッという音が辺りに響く。
それは、赤い、リンゴだった。

 今まで黒かった相手の目の色が黄色く変わった。

「このリンゴはね、食べれば少しの間だけ全ての精霊が私の虜になる……。つまり、一定時間だけ私も【マーラ】になれる。これが私の黄色の血の能力【魔性の果実】。」

 相手は持っていた杖を放り投げた。
カラン、と杖は乾いた音をたてて床に落ちた。

それが合図だとでもいうように二人は動いた。

「炎よ、相手を燃やしなさい!」
「水よ……炎を包んで!」

二人が一斉に魔法を放つ。
同時に魔法がぶつかり、大きな音をたてて消滅した。

「やるわね。ほぼ全ての魔法が私に味方しているなか、これだけの魔法を使えるなんて。でも、それもいつまで持つかしら?」

 そして、相手は先程まで前に突き出していた手を上に掲げた。

「氷よ、氷の粒を降らせなさい!」
相手が唱えると、空中に大量の氷の粒が表れた。
そして、それは一気に降ってくる。

 ティナは呪文を唱える時間がないことを感じたのか、そのまま氷の粒の中に突っ込む。

そして、一つ一つの氷の粒を舞うようにかわしていく。

相手は舌打ちすると、
「光よ、相手を貫きなさい!」
今度は光魔法を放った。

 氷の粒は左右から、そして正面からは光魔法が迫ってくる。

 光魔法を避ければ氷の粒にあたり、逆に氷の粒を避ければ光魔法に当たる。

もうだめだ。俺がそう思ったとき、ティナは宙を舞った。

 確かに右にも左にも正面にも避けられない。だからティナは、上に避けた。

 そのはずみに顔を隠していたフードが脱げ、白い髪がまるでサラサラと音をたてるように、あらわになった。

周りが息を飲み込む音が聞こえる。

 そして、ストンと音をたてフィールドへ着地した。
 まるで、天使が空から降ってきたかのように。

 氷の雨がやみ、そのままティナは相手に突っ込む。
「光さん……光って!」
ティナがそう唱えるとあたりを眩しい光が包み込んだ。

「なっ!目眩まし!」

「チェック……メイト。風さん……出力全開……!!」

 辺りの光が消えると、そこにはティナと気を失い、倒れた敵がいた。

そして、アナウンスがティナの勝利を告げた。

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