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俺が頼んだ能力は神達の中での普通じゃない！！

白林

俺が望んだ、1つの願い…。

　どれくらいの時間がたったのかわからない。
起きてからすぐに目に入ってきたのは、真っ白な天井だった。

病室の中にいると思った。
だが、その考えが間違っていることに、すぐに気づいた。

　周りを見渡しても、どこもかしこも真っ白で、ベッドの一つも置いていない。

それに、男に刺された痛みがなくなっている。

そう思って体をみてみると、傷口はきれいサッパリなくなっていた。

　俺は立ち上がって周りを見渡すが、やはり何もなかった。
ーーここは、天国か何かなのだろうか‥。

「はぁ。宛が外れたな。天国って言えば、もっと賑やかだと思ったんだがな…。」

「それは当たり前です。ここは、天国じゃないんですから。」

　後ろから声が聴こえ、俺が後ろを振り向くと、さっきは何もなかった場所に誰かが立っていた。

　白いフードを目深く被っていて、表情は見えないが、胸にある2つの膨らみがその人物を女性だと語っている。
女性はまっすぐこちらへ歩いてくると

「この度はありがとうございました。あなたが救った命は将来、国を豊かに変え、世界を発展させる役割を持った少女です。
　私達が、ヒューマンの個体に世界の知識を詰めて生まれさせたのですが、あそこで殺されていれば、なんの意味もなかったことになります。
あなたが救ってくれたおかげで助かりました。」

女性はそう言うと、にっこりと笑った。

「人間の個体に、知識を詰めた…？お前は一体何者だ。」

　だいたい予想はつく。でも確認せずにはいられなかった。
女性は自分を指差し、

「私ですか？私は神です。」

そう言って、またニッコリ笑うのだった。

「俺は死んだのか？」

「はい。死にました。
　しかし、私はあのヒューマンを救ってくれたことに感謝しています。
　ですから、転生するとき何か1つの願いを叶えようと思いまして。ここに連れてきました。」

　神は、お金持ちに生まれ変わりたい？それとも、勇者とか……。
などと人差し指を口に当てながら、一人でつぶやいていた。

そして俺に、「どうしたいですか？」
と、やっぱりニッコリ笑いながら聞いてくるのだ。

　俺は別にお金持ちとか、勇者になりたいわけじゃない。
お金持ちになったら、確かに生きていくのは楽だと思う。
勇者なら、地位も権力も全てを貰えるだろう。

　しかし俺が神に願ったのはそんなことじゃなく、
「俺は、能力はどこにでもいる奴らと同じでお願いします。つまり、平均ってことで」

　確かに勇者になれば地位も権力もついてくるだろう。だが、その為だけに魔王を倒したり国を救ったりしないといけないならば正直めんどくさすぎる。

　金持ちも、他の人達から恨まれやすいだろうし、金を持っているだけで殺されそうになるだろう。

いちいち対処するのも面倒くさい。

だから俺はそこら辺にいるモブ達と溶け込み、平和な暮らしを送りたいんだ。

　神は俺の顔を見て何かを察したのかニッコリと笑い、

「そうですか、わかりました。では、そのようにいたします。よい、転生ライフを。」

　そういって、手を横に振るった。

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