choice02~球体の楽園~
屋敷にて…
……二日目…午前……
コンッコンッ!
コンッコンッ!
ドアをノックする音に眠っていた葵は反応した。
コンッコンッ!
葵がドアをゆっくり開けると、五月がいた。
「おはようございます…」
眠たそうな葵を見て五月が言った。
「あんた、いつまで寝てんの?…もう朝の集合時間よ!」
この屋敷の各部屋は、外から鍵をかける事はできず、中からしか施錠できない。
九条と有紀の提案で、朝昼晩の決まった時間は集合するルールになっている。
「用意するので…少し待っていて下さい…」
葵はあくびをしながら、部屋に戻り顔を荒いに行った。
昨日、屋敷の調査をしたが…前回と違い、必要なものが手に入る『転送倉庫』が、今回は無い。
必要なものは、1階食堂の逆側にある物置にある。
有紀に聞いた話によると、『リセットのルール』は前回と同じで、24時間に1回…正午に、使った食糧や日用品などは補充され、廃棄物は屋敷の外に出して置けば消えるようだ。
準備の終わった葵が、部屋から出てきた。
「お待たせしました…では行きましょう…」
葵と五月は皆が待ってる食堂に向かった。
食堂に到着すると、五月は言うように皆が揃っていた。
葵は平謝りをした。
「すみません皆さん…お待たせしまして…」
陸が言った。
「夜更かししてたんだろ?…君、不健康そうだし…」
葵は言った。
「面目ないです…夜が来ないので、しばらくリズムを掴むのに苦労しそうです…」
教師の愛が言った。
「まぁ、無理しないで…慣れていけばいいわ…」
「そう言って頂ければ…さいわいです」
九条が言った。
「まぁ…葵君の場合、今に始まった事ではない…僕は気にしないよ…」
陸が言った。
「九条さんと葵君て、確か知り合いですよね?てか、有紀さんと歩さんも…」
「そうだよ、片岡さんと歩は夏に知り合ったんだが…葵君のお父さんと、僕は元々知り合いでね…」
「『東鷹大学の天変 月島葵』でしょ…」
画家の祥子だった。
祥子は続けた。
「東鷹大学の出身だったら…誰でも知っている…。ふふふ、魅力的ね…」
祥子は葵を見つめている…、葵はその目を見て言った。
「それはどうも…誉め言葉として、受け取っておきます…三木谷さん…」
「祥子でいいわ…、葵君…あなたとは仲良くできそうよ…」
五月が言った。
「祥子さん…東鷹大出身ですか?…じゃあ、私の先輩…」
葵が言った。
「因みに、そちらの有紀さんも東鷹大出身ですよ…」
五月はたまげて言った。
「ええーっ!そうなの?…」
有紀が言った。
「騒がしいやつだ…、まぁ、元気があるのはいい事だが…」
陸が言った。
「ムードメーカーにちょうどいいよ」
五月は気をよくして言った。
「任せて下さいっ!」
葵はそんな五月を放っておいて、有紀の横に座った。
「有紀さん、昨日…僕も一通り検索しましたが、劇薬類や危険物は無いようです…」
有紀は頷きながら言った。
「そうだな…あっても消毒液などの薬品しかない、さらに内服薬までも無い…怪我はしても、病気はしないと、いうことか…」
「可能性はありますね…僕たちは実体であって実体ではありません…。
よって、体を作るがわの…さじ加減です…」
「今更だが……、気に入らんな…」
「ええ…、相変わらず、趣味が悪い…」
葵と有紀が話している間に、歩が皆の朝食を運んできた。
「皆…できたよぉ、厨房に残りあるから取ってきてね…」
葵が歩に言った。
「朝食係りは歩さんですか?…」
「簡単なトーストエッグだけどね…」
「意外です…」
「あのね葵君…俺、一応世界中飛び回って、キャンプとか慣れてんの…料理くらいできるよ…」
有紀が言った。
「歩は料理くらいしか、取り柄がないからな…」
「料理のできない有紀に言われたくないよ…」
葵が有紀に聞いた。
「料理しないのですか?…」
「出来ない訳ではない…、必要ないのでしないだけだ…」
歩が笑いながら言った。
「ククク…よく言うぜ、お前が作ると全部真っ黒じゃんか…」
「なんだと?!…歩、お前…私にそんな事言って、ただで済むと思ってるのか?…」
歩は顔をひきつらせて言った。
「じょ、冗談だよ…、あっ、俺…厨房に忘れ物した…」
歩は逃げてしまった。
有紀は両腕を組んで言った。
「ふんっ!私に料理など必要ない…」
葵は相槌をうつしかなかった。
「そ、そうですね…」
やがて食事も終えて葵と有紀か話していたら、祥子が話しかけてきた。
「ここの芸術館には行った?月島葵君…」
「ええ、ここに来てすぐに…それが?」
祥子は妖艶な笑みで言った。
「ふふふ、素晴らしいと思わない?…ここの作品は…」
「素晴らしいですね…限りなく本物を再現している…、いや、ある意味本物ですかね…」
葵の返答に満足したのか、笑顔を崩す事なく祥子は言った。
「ふふふ、あなたもそう思う?…でもどうして、そう思うの?」
葵は答えた。
「そうですね…、あの芸術館でひときわ目立っていたのは…ミケランジェロの『最後の審判』でした…。
僕はそんなに詳しくはありませんが、見事な『フレスコ画』です…」
話を聞いていた愛が言った。
「『フレスコ画』?…」
葵が答えた。
「西洋の壁画に使われる、絵画技法です…」
葵はさらに続けた。
「日本にもレプリカは存在しますが…それは、原寸大の陶器製です…。
しかし、ここにあるのは壁画で、フレスコ画を忠実に再現しています…本物により近い…」
有紀が言った。
「なるほど…本物を知らなければ、再現出来ないってわけか…」
祥子は葵の話を聞いて、少し笑って言った。
「ふふふ、さすがね…。でも、そんなことは問題じゃないの…」
葵が言った。
「作品に魅了され…そして、引き込まれる…。ですか…」
「そうよ素晴らしい作品には、講釈はいらないの…『魂を掴まれる』…、それだけでじゅうぶんなの…」
「なるほど…よくわかりました。僕と祥子さんとは、見てるものが違うようです…」
「そうね、あなたは知識とその目で…、私は感覚で…。
でも、楽しいお話だったわ…、私も絵を描いてるの…今度見てちょうだい…」
「ええ…是非とも…」
「それでは、ごきげんよう…」
そう言うと祥子は自分の部屋へと戻って行った。
「不思議な方です…」
葵が呟くと、有紀が言った。
「気に入られたようだな…」
「そうですか?…僕とはタイプが異なりますよ」
「根拠を求める葵と、感覚で動く祥子…面白い…」
「他人事ですね……、楽しんでるヒマ…ありませんよ」
「葵君の言う通りだ…」
九条が後ろから言った。
「僕たちは脱出方法を考えないと…葵君の言う通り、楽しんでいるヒマはないぞ…」
九条がそう言うと、歩が厨房からやって来た。
「皆、食べ終わったかい?…片付けたいんだけど…」
歩が食器を片付け始めようとすると、愛が言った。
「渡辺さん…私も手伝います…」
愛の申し出に歩の表情も緩んだ。
「いやぁ、助かるよ…愛ちゃんだっけ?…」
「あ、愛ちゃん?…」
愛は呼ばれなれてないのか、少し戸惑っている。
歩は気にせず言った。
「まぁいいじゃないのっ!俺の事は歩でいいよっ!よろしくな」
「は、はい……よ、よろしく…」
有紀が愛に言った。
「愛、気にするな…こいつは誰にでも馴れ馴れしい…」
歩が有紀にケチをつけた。
「お前…一言多いぞ…」
「ほんとの事だ…それともデリカシーが無いと、言った方がよかったか?」
愛は二人の仲裁に入るように言った。
「まぁまぁ、私もフランクな方がいいんで…、それより片付けましょう…」
「いやぁ助かるよ…優しいし、どっかの誰とは大違い…」
「なんだと!…歩…」
愛は慌ててまたも仲裁に入る。
「まぁまぁ、とにかく片付けましょう…お昼の準備も手伝いますから…」
そう言うと愛は歩を厨房に連れて行った。
九条が言った。
「君たち…相変わらずだな……」
葵が言った。
「ああは言ってますが…歩さん…、有紀さんが倒れた時は動揺してましたよ…」
有紀は言った。
「ふんっ!葵に動揺を見せるとは…情けないやつだ…」
葵のフォローも台無しだ。
すると今まで黙っていた、堂島夫婦の娘…亜美が言った。
「脱出方法を探すんですか?…」
九条が言った。
「そうだが…」
亜美は浮かない表情だ。
それを見て有紀が言った。
「帰りたくないのか?…」
すると陸が席から立ち上がった。
「俺…ちょっとグランドで汗流してきます…」
そう言うと陸は食堂を出ていった。
亜美は有紀に言った。
「帰りたくない、わけじゃないけど…少し休めるかなぁって…せっかく両親から離れられたから…」
九条が言った。
「先生たちも心配してるよ…」
亜美は言葉を強めた。
「だから嫌なんですっ!」
有紀が言った。
「まぁ、そう熱くなるな…どのみちすぐには脱出できない、休める時間はまだある。なぁ、葵?」
「そうですね…いまのところは、何もわかりません…時間はかかるでしょう…」
亜美は言った。
「今の状況って、『神様がくれたプレゼント』って、思ってたの…」
九条が言った。
「神様か……」
皆の会話を不思議そうに聞いていた五月が、葵に聞いた。
「これって…夢でしょ?」
まだ夢だと思っているようだ。
葵は呆れて言った。
「そう思っているのは、あなただけですよ……」
コンッコンッ!
コンッコンッ!
ドアをノックする音に眠っていた葵は反応した。
コンッコンッ!
葵がドアをゆっくり開けると、五月がいた。
「おはようございます…」
眠たそうな葵を見て五月が言った。
「あんた、いつまで寝てんの?…もう朝の集合時間よ!」
この屋敷の各部屋は、外から鍵をかける事はできず、中からしか施錠できない。
九条と有紀の提案で、朝昼晩の決まった時間は集合するルールになっている。
「用意するので…少し待っていて下さい…」
葵はあくびをしながら、部屋に戻り顔を荒いに行った。
昨日、屋敷の調査をしたが…前回と違い、必要なものが手に入る『転送倉庫』が、今回は無い。
必要なものは、1階食堂の逆側にある物置にある。
有紀に聞いた話によると、『リセットのルール』は前回と同じで、24時間に1回…正午に、使った食糧や日用品などは補充され、廃棄物は屋敷の外に出して置けば消えるようだ。
準備の終わった葵が、部屋から出てきた。
「お待たせしました…では行きましょう…」
葵と五月は皆が待ってる食堂に向かった。
食堂に到着すると、五月は言うように皆が揃っていた。
葵は平謝りをした。
「すみません皆さん…お待たせしまして…」
陸が言った。
「夜更かししてたんだろ?…君、不健康そうだし…」
葵は言った。
「面目ないです…夜が来ないので、しばらくリズムを掴むのに苦労しそうです…」
教師の愛が言った。
「まぁ、無理しないで…慣れていけばいいわ…」
「そう言って頂ければ…さいわいです」
九条が言った。
「まぁ…葵君の場合、今に始まった事ではない…僕は気にしないよ…」
陸が言った。
「九条さんと葵君て、確か知り合いですよね?てか、有紀さんと歩さんも…」
「そうだよ、片岡さんと歩は夏に知り合ったんだが…葵君のお父さんと、僕は元々知り合いでね…」
「『東鷹大学の天変 月島葵』でしょ…」
画家の祥子だった。
祥子は続けた。
「東鷹大学の出身だったら…誰でも知っている…。ふふふ、魅力的ね…」
祥子は葵を見つめている…、葵はその目を見て言った。
「それはどうも…誉め言葉として、受け取っておきます…三木谷さん…」
「祥子でいいわ…、葵君…あなたとは仲良くできそうよ…」
五月が言った。
「祥子さん…東鷹大出身ですか?…じゃあ、私の先輩…」
葵が言った。
「因みに、そちらの有紀さんも東鷹大出身ですよ…」
五月はたまげて言った。
「ええーっ!そうなの?…」
有紀が言った。
「騒がしいやつだ…、まぁ、元気があるのはいい事だが…」
陸が言った。
「ムードメーカーにちょうどいいよ」
五月は気をよくして言った。
「任せて下さいっ!」
葵はそんな五月を放っておいて、有紀の横に座った。
「有紀さん、昨日…僕も一通り検索しましたが、劇薬類や危険物は無いようです…」
有紀は頷きながら言った。
「そうだな…あっても消毒液などの薬品しかない、さらに内服薬までも無い…怪我はしても、病気はしないと、いうことか…」
「可能性はありますね…僕たちは実体であって実体ではありません…。
よって、体を作るがわの…さじ加減です…」
「今更だが……、気に入らんな…」
「ええ…、相変わらず、趣味が悪い…」
葵と有紀が話している間に、歩が皆の朝食を運んできた。
「皆…できたよぉ、厨房に残りあるから取ってきてね…」
葵が歩に言った。
「朝食係りは歩さんですか?…」
「簡単なトーストエッグだけどね…」
「意外です…」
「あのね葵君…俺、一応世界中飛び回って、キャンプとか慣れてんの…料理くらいできるよ…」
有紀が言った。
「歩は料理くらいしか、取り柄がないからな…」
「料理のできない有紀に言われたくないよ…」
葵が有紀に聞いた。
「料理しないのですか?…」
「出来ない訳ではない…、必要ないのでしないだけだ…」
歩が笑いながら言った。
「ククク…よく言うぜ、お前が作ると全部真っ黒じゃんか…」
「なんだと?!…歩、お前…私にそんな事言って、ただで済むと思ってるのか?…」
歩は顔をひきつらせて言った。
「じょ、冗談だよ…、あっ、俺…厨房に忘れ物した…」
歩は逃げてしまった。
有紀は両腕を組んで言った。
「ふんっ!私に料理など必要ない…」
葵は相槌をうつしかなかった。
「そ、そうですね…」
やがて食事も終えて葵と有紀か話していたら、祥子が話しかけてきた。
「ここの芸術館には行った?月島葵君…」
「ええ、ここに来てすぐに…それが?」
祥子は妖艶な笑みで言った。
「ふふふ、素晴らしいと思わない?…ここの作品は…」
「素晴らしいですね…限りなく本物を再現している…、いや、ある意味本物ですかね…」
葵の返答に満足したのか、笑顔を崩す事なく祥子は言った。
「ふふふ、あなたもそう思う?…でもどうして、そう思うの?」
葵は答えた。
「そうですね…、あの芸術館でひときわ目立っていたのは…ミケランジェロの『最後の審判』でした…。
僕はそんなに詳しくはありませんが、見事な『フレスコ画』です…」
話を聞いていた愛が言った。
「『フレスコ画』?…」
葵が答えた。
「西洋の壁画に使われる、絵画技法です…」
葵はさらに続けた。
「日本にもレプリカは存在しますが…それは、原寸大の陶器製です…。
しかし、ここにあるのは壁画で、フレスコ画を忠実に再現しています…本物により近い…」
有紀が言った。
「なるほど…本物を知らなければ、再現出来ないってわけか…」
祥子は葵の話を聞いて、少し笑って言った。
「ふふふ、さすがね…。でも、そんなことは問題じゃないの…」
葵が言った。
「作品に魅了され…そして、引き込まれる…。ですか…」
「そうよ素晴らしい作品には、講釈はいらないの…『魂を掴まれる』…、それだけでじゅうぶんなの…」
「なるほど…よくわかりました。僕と祥子さんとは、見てるものが違うようです…」
「そうね、あなたは知識とその目で…、私は感覚で…。
でも、楽しいお話だったわ…、私も絵を描いてるの…今度見てちょうだい…」
「ええ…是非とも…」
「それでは、ごきげんよう…」
そう言うと祥子は自分の部屋へと戻って行った。
「不思議な方です…」
葵が呟くと、有紀が言った。
「気に入られたようだな…」
「そうですか?…僕とはタイプが異なりますよ」
「根拠を求める葵と、感覚で動く祥子…面白い…」
「他人事ですね……、楽しんでるヒマ…ありませんよ」
「葵君の言う通りだ…」
九条が後ろから言った。
「僕たちは脱出方法を考えないと…葵君の言う通り、楽しんでいるヒマはないぞ…」
九条がそう言うと、歩が厨房からやって来た。
「皆、食べ終わったかい?…片付けたいんだけど…」
歩が食器を片付け始めようとすると、愛が言った。
「渡辺さん…私も手伝います…」
愛の申し出に歩の表情も緩んだ。
「いやぁ、助かるよ…愛ちゃんだっけ?…」
「あ、愛ちゃん?…」
愛は呼ばれなれてないのか、少し戸惑っている。
歩は気にせず言った。
「まぁいいじゃないのっ!俺の事は歩でいいよっ!よろしくな」
「は、はい……よ、よろしく…」
有紀が愛に言った。
「愛、気にするな…こいつは誰にでも馴れ馴れしい…」
歩が有紀にケチをつけた。
「お前…一言多いぞ…」
「ほんとの事だ…それともデリカシーが無いと、言った方がよかったか?」
愛は二人の仲裁に入るように言った。
「まぁまぁ、私もフランクな方がいいんで…、それより片付けましょう…」
「いやぁ助かるよ…優しいし、どっかの誰とは大違い…」
「なんだと!…歩…」
愛は慌ててまたも仲裁に入る。
「まぁまぁ、とにかく片付けましょう…お昼の準備も手伝いますから…」
そう言うと愛は歩を厨房に連れて行った。
九条が言った。
「君たち…相変わらずだな……」
葵が言った。
「ああは言ってますが…歩さん…、有紀さんが倒れた時は動揺してましたよ…」
有紀は言った。
「ふんっ!葵に動揺を見せるとは…情けないやつだ…」
葵のフォローも台無しだ。
すると今まで黙っていた、堂島夫婦の娘…亜美が言った。
「脱出方法を探すんですか?…」
九条が言った。
「そうだが…」
亜美は浮かない表情だ。
それを見て有紀が言った。
「帰りたくないのか?…」
すると陸が席から立ち上がった。
「俺…ちょっとグランドで汗流してきます…」
そう言うと陸は食堂を出ていった。
亜美は有紀に言った。
「帰りたくない、わけじゃないけど…少し休めるかなぁって…せっかく両親から離れられたから…」
九条が言った。
「先生たちも心配してるよ…」
亜美は言葉を強めた。
「だから嫌なんですっ!」
有紀が言った。
「まぁ、そう熱くなるな…どのみちすぐには脱出できない、休める時間はまだある。なぁ、葵?」
「そうですね…いまのところは、何もわかりません…時間はかかるでしょう…」
亜美は言った。
「今の状況って、『神様がくれたプレゼント』って、思ってたの…」
九条が言った。
「神様か……」
皆の会話を不思議そうに聞いていた五月が、葵に聞いた。
「これって…夢でしょ?」
まだ夢だと思っているようだ。
葵は呆れて言った。
「そう思っているのは、あなただけですよ……」
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