天才・新井場縁の災難

ノベルバユーザー329392

プロローグ ②

 ……都内…某喫茶店……




 都心から少し外れたところにある、百合根町ゆりねちょう…都内の割に静かなこの町は、治安も良くて、老若男女の人口比率もバランスが良い。
 それだけ、この百合根町は住みやすい町と…人々に認識されているのだ。
 その町のとある一つの喫茶店『風の声』で新井場縁あらいばえにしは、一人でコーヒーを楽しんでいた。
 店名とギャップがあるクラシカルな店内は、お世辞でも広いとは言えず、10人程が座れるカウンター席のみだ。
 午後3時を回ったところなので、客は縁一人だけだった。
 縁は地元の高校2年生で今年17歳になったばかりだ。
 現在夏休み中なので、この喫茶店にしょっちゅう来ている。
 Tシャツとジーンズという、ラフなスタイルだが、それも様になっている。
 それというのも、縁は身長はそれほど高くはないが、校内でも有名なくらいの美男子で、学力も校内トップの実力を持っている。
 それに合わせて、縁は独特な空気を纏っているので、インテリ感が醸し出ている。
 縁はカウンターに肘を付けて、店内のテレビで放送中の報道番組を視聴している。
 その報道番組では『美人女子大生作家、小笠原桃子の特集』といった、内容のコーナー流れていて、受賞祝賀会のVTR映像が写し出されている。
 そんな映像を見ながら、店の店主が縁に言った。
 「すげぇな…とうとう最優秀賞獲っちゃったよ…」
 縁は言った。
 「たっくん、それは違う…運が良かっただけだろ…」
 縁に『たっくん』と、呼ばれてる店主は香川巧かがわたくみと言う名前だ。見た目は茶髪の短髪に、あご髭を生やしている。それに肌は色黒で、筋肉質、年齢は27歳で一応既婚者だ。
 巧は言った。
 「でもよぉ、縁…こんな大変な賞は中々獲れないぞ…」
 縁は溜め息を付いた。
 「はぁ~っ…。大変な賞だから、たちが悪いんだよ…」
 縁が溜め息をした後に店の入口から、一人の女性が入って来た。

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