OVER-DRIVE

ノベルバユーザー329392

 大砲が鳴ったと同時に、各車一斉にスタートした。
 とうとうバトルエアバイクレースの本選が始まったのだ。会場を一周して、市街地に出るのだが……勢いよく飛び出したのは……。
 「このままぶっちぎってやるぜっ!」
 ①番のガンツ兄妹だ……。しかしそれを追う二組のペアがいる。
 ③番の豪腕狩人のボーク夫妻と、⑥番の運び屋グルス夫妻だ。
 ボーク夫妻の妻は、弓矢でガンツ兄妹のバイクを狙い、矢を発射した。
 勢いのある矢は、ガンツ兄妹を目掛けて飛んできたが……。
 「マリーダ!」
 「あいよっ!兄貴っ!」
 ガンツ兄妹の兄、カストロが妹のマリーダに言うと、マリーダはボーガンから矢を二本発射した。
 マリーダの矢は、一本は自分達を狙った矢を弾き、もう一本はボーク夫妻のバイクのフロントに直撃した。
 ボーク夫妻のバイクはバランスを崩した。
 「くそっ!バランサーがやられたっ!」
 ボーク夫は必死にバランスを保とうとしたが……。バランスを崩したバイクはクルクル回転しながら、勢いよく会場の壁に激突した。
 早くも一組の脱落が出た。
 ボーク夫妻を仕留めたマリーダは、ガッツポーズしている。
 「しゃーーっ!」
 しかしマリーダが喜んでいるのも束の間……運び屋グルス夫妻が、ガンツ兄妹の真横に迫っていた。
 「敵は一組じゃねぇーっ!」
 グルス夫は運転しながら、兄のカストロ目掛けて斧を降り下ろしたが……。
 「しゃくせぇーっ!」
 カストロはグルス夫の斧を、ものともせずに、素早く剣で斧もろともグルス夫妻を、バイクごと弾き飛ばした。
 グルス夫妻のバイクも、ボーク夫妻同様に、会場の壁に激突した。
 「空賊と渡り合ってきた……空の船乗りをなめんじゃねぇっ!」
 これで早くも二組が脱落した。
 ガンツ兄妹の暴れっぷりを、見ていた後続のペア達は、ガンツ兄妹の戦闘力に驚いている。
 その戦闘力に険しい表情をしているのは、すぐ背後にいる⑤番のミロとミカだ。
 ミロは言った。
 「あのボーガンは厄介ですね」
 「兄貴の方もヤバイよ……。あの体勢でバイクごと弾き飛ばしたんだからね……」
 ミカも渋い表情だ。
 後方グループのロックとユイも、先程の戦闘に驚いている。
 「へぇー……やるじゃねぇか」
 ロックは感心した表情だ。
 「言ってる場合かっ!アイツらそうとう強いよっ!」
 ユイは焦った様子だ。
 するとロックとユイのバイクを、前方にいた④番の……ハンターのマリュー&リュウが狙っていた。
 後ろに乗ったマリューが猟銃で狙っている。
 「感心してる場合じゃないよっ!堕ちなっ!」
 マリューはロック目掛けて猟銃を発射し、弾丸はロック目掛けて飛んでいったが……。
 

 キィーンッ!


 マリューは目を見開いた。ロックは刀で弾丸を弾いたのだ。
 「バカなっ!弓矢とわけが違う……。弾丸だぞっ!?……クソッ!」
 マリューはすぐに二射目を準備した。
 「ガキッ!」
 ロックはユイにそう言うと、アクセル全開でマリュー達との距離をつめ、マリュー達の隣まできた。
 「ガキじゃないって……言ってんだろっ!」
 ユイはそう言うと、マリュー目掛けて投げ針を投げた。
 ユイの投げた針は、マリューの頬をかすめた。
 「この小娘っ!」
 マリューは激昂し、猟銃をユイに向けたが……。
 「マリューッ!よせっ!」
 リュウの制止を聞かずに、マリューは猟銃の引き金を引いた。


 ボォーーンッ!


 マリューの猟銃は暴発したのだ。ユイは針を二本投げており、一本はマリューの頬を……もう一本は猟銃の銃口に入っていたのだ。
 「キャーーーッ!」
 マリューは叫びながら、バイクから落下した。
マリューを落とされた事に激怒したリュウは、剣をユイに振りかざした。
 「このガキがぁーーーっ!」


 ガキィーーーンッ!


 しかしすぐさまロックが刀で、剣を受けユイを守った。
 ロックはニィーっと笑って、剣をいなし、刀をリュウのバイクのフロントに突き刺した。
 「悪く思うなよ……」
 ロックが刀を抜くと、バイクはバランスを失い、煙を上げてクルクル回転した。
 「くそがぁーーっ!」
 リュウはバイクを乗り捨てて脱出した。乗り手を失ったバイクは、回転しながら壁に激突した。
 これで三組の脱落が決まり、それ以外の出場者達は、次々と会場を飛び出した。
 ロックとユイも続けと、会場を飛び出し、市街地を目指した。



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