この世界なら僕は変われるかもしれない。

かぐや

第0話

ーー雨が降っている

 僕は傘も差さずに学校の屋上に立っている。

 「……こんな日にも雨なのか。」 
  
 まったく僕は本当についてない。いや、もうこれでいいのかもしれない。
 
      
 ーーもうすぐ全てが終わる• • • • • •


 これでもうあいつらとも会わなくて済むし、親からも暴力を振るわれることもない。

 僕は屋上から飛び降りたーーー



 落下している僕に白い光が包み込んだ。

 (死ぬ前ってこんな感じなのかな…)

 僕は静かに目を閉じる。



 ーーおかしい。いつまで経っても地面に落ちない。

 学校は3階建てで、屋上から飛び降りたのならば、2秒もあれば地面に落ちるだろう。もうゆうに10秒は落下している。

 僕はゆっくりと目を開けた。

 「……なっ ︎」

 目を開けると、周りは真っ黒でなにも見えない。

 「…な、なんだここは ︎」
 
 僕は困惑した。

 (確か屋上から飛び降りたはず…)

 僕の体は、光に包まれながら暗闇の中を落下している。

 (もしかしたら、もう僕は死んでいるのかもしれない)

 そんなことを考えた。いや、そんなことしか考えられなかった。
 
 いじめられ、先生にも見放された。親も失業をきっかけに変わってしまった。この世に僕の居場所はもうなかった。

 ーー手を差し伸べてくれる人もいなかった。

 「…もう、どうだっていいや。」

 この状況ももうどうだっていい。

 ーーーそう思った時だった

 奥の方に小さな光が見えた。

 その光は徐々に徐々に大きくなっていく。

 そして僕はその光の中に入っていったーー

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