センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

34話 死んでしまうとは、なさけない。


 34話 死んでしまうとは、なさけない。

「想像しろ、スルス。お前の娘は、これから、身も心もズタズタに引き裂かれる。まずは、私がとことん遊ぶ。飽きたら、ホアノスに売る。ホアノスには殺さないように頼んでおく。とことん壊していく。女が、どこまで壊れるのか、それを貴様の娘で実験する。想像しろ、スルス。そして、絶望するがいい。それがエネルギーとなって世界を回すんだ。どうだ? 素晴らしいだろう? お前が苦しめば苦しむほど、世界は美しい円を描く。はは、はははははは、ははははははははははっ!」


 心底楽しそうに笑いながら、
 スルスの顔面を殴りつけていく。

 決して殺しはしない。
 彼女にも、地獄を知ってもらう必要がある。
 もっと、もっと、苦しんでもらう。
 簡単に死なせてしまっては何も面白くない。
 苦しんで、苦しんで、苦しんで、それでも生きてもらう。

 その絶望は世界の糧になる。

(まあ、本音を言えば、世界が回ろうがどうしようが、どうでもいいがな)

 クリミアは黒く微笑む。
 彼に使命感などない。
 ただ、命で遊んでいるだけ。

(私の欲求を満たせるのであれば、それでいい。何をしてもいいというのを世界に認められているという、この優越感……ああ……素晴らしい……)

 クリミアは、世界に感謝する。
 自分を選んでくれたこと。
 自分の全てを許してくれていること。
 その全てに感謝する。

「おねがい……します……娘だけは……私は……なんでも……しますから……」

 顔面グチャグチャの血だらけで、意識朦朧となりながらも、
 スルスは、必死になって慈悲を請う。
 それしか出来ないから。

 母親として、自分に出来ることを精一杯やっている。
 そんな彼女の口の中に、
 クリミアは、右手を押し込んで、

「さすがに、聞き飽きた。うるさい」

 そう言いながら、彼女の歯をくだいた。
 なんの躊躇もなく、
 当たり前のように、
 バキっと、

「きゃぁああああ!!」

 激痛に暴れまわるスルスに、クリミアは、

「うるさいと言っている」

 理不尽なことを言いつつ、
 まだ、歯を砕こうとした、
 その時、



「お母さんから、離れろぉおおお!」



 背後から、
 赤いオーラに包まれた『ナイフを持った少女』が、襲い掛かってきた。
 クリミアの首を刈り取ろうと、
 全力の殺意をクリミアにぶつける少女。

 彼女は、スルスの娘『セーナ』。

 彼女は、クリミアの魔法で拘束されていたのだが、
 しかし、怒りが限界に達した結果、
 彼女は、絶死のアリア・ギアスを積むことを決意し、
 限界を超えた力で、拘束を突破することに成功した。

 母親を愛している彼女にとって、
 目の前の惨劇は、地獄以外の何物でもない。

 セーナは、後先考えずに、
 母親を救うために、全力で、クリミアを殺そうとした。

 ――けれど、当然、

「絶死のアリア・ギアスを積んだか……ちっ……つまらないな……」

 セーナの存在値は、平民の中ではマシな方だが、
 しかし、『平民の中ではマシ』という程度のカスが絶死を積んだところで、
 クリミアをどうにかできるわけがない。

 セーナの特攻を、余裕で回避する。
 その流れのまま足をひっかけ、セーナをこかしたクリミアは、
 彼女の首を掴み上げて、

「なぜ、スルスを殺さなかったと思う? お前に生きる原動力を与えようとしたからだ。お前を生かすのも、また、スルスに自殺をさせないため。お前らは、互いが互いを醜く生き残らせるための鎖だった……なのに……勝手に死ぬとは何事か」

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