センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
18話 丁寧な運命に導かれているキムロ。
18話 丁寧な運命に導かれているキムロ。
――キムロは、無数のチートアイテムをもって転生した。
しかし、この世界に存在する『王級』の連中は、のきなみ、存在値が500前後、あるいはそれ以上と、バカみたいに強い連中ばかりで、キムロ程度の存在値では、いくら、チートアイテムをもっているといっても、さすがに歯がたたなかった。
結果、キムロは、トーン共和国の『便利な犬』としてのポジションに落ち着いた。
チートアイテムを使えるため、それなりに使える存在として、
それなりの金銭と地位を与えられ、都合よく利用されている。
その現状に対し、キムロは常に歯ぎしりしていた。
『これじゃあ、前世と何も変わらねぇ』
ヤンキーの王様のパシリとして、
シャバ増相手に集金をしていたころと、
何一つ変わらない、ただの犬。
その現状を変えたくて、色々ともがいたりしていたが、
キムロに才能がなさすぎて、
経験値が増えるチートアイテムを使っても、
存在値250前後が精一杯。
この程度の存在値では、上にはいけない。
それなりに優秀な犬にはなれるが、それが精一杯。
――そんなキムロの人生に訪れた、一世一代の大チャンス。
それが、このランク333の魔カード。
(使い方だ……とにもかくにも……下手な使い方をしたら、ただ、一瞬、強くなって終わり……しかし、これをうまく使えば、王になれる……パシリを卒業して、一番高いところにたてる……)
必死になって考えるキムロ。
せっかくのチャンスを、どうにか生かそうと必死になって頭をまわす。
そんなキムロに、
トコが、
「……ゲスな欲望が暴走しているところ悪いけど、それは、あたしにしか使えない。残念」
「ん? ああ……まあ、だろうなぁ。……『トコ・ドラッグ専用真聖魔装』と書いてあるからなぁ。この手の『使用者に制限がかかった魔カード』は珍しくない。特定の人間しか使えないという縛りは、スペックを向上させるアリア・ギアスにもなるし、鹵獲された時の対応策にもなる。……だがな……」
そこで、キムロは、黒くニヤついて、
「やりかたしだいじゃ、その手の『所有権』を『盗む』ってことも出来るんだぜ、お嬢ちゃん」
そう言いながら、
キムロはアイテムボックスに手を伸ばし、
異彩を放つ小さなナイフを取り出した。
「こいつの名前は『アリババ』と言う。こいつを使って殺した相手から、『所有権』を奪い取ることが出来るってアイテムだ。『誰々しか使えない』ってアイテムがあった場合、その『誰々』に該当するやつを、こいつを使って殺せば、その『誰々』が俺になる。アリババじたいの攻撃力は0に近いから、格上を殺すのは非常に難しい。だから、チートの中じゃあ、微妙なものだったんだが……お前相手にはぶっ刺さるなぁ」
そこで、キムロは天を仰いで、
「すべての苦難が……今日のためにあったんだとすら思う。これまで、散々だった。転生する前はもちろん、転生してからも。転生直後は、これで人生が変わると思っていたが、だんだんと現実が見えてきて、結局、転生前と同じだと分かって絶望した……けど、同じじゃなかった。神様は、俺に道を用意してくれていた。お前を殺し、アイテムを奪い取る……それが、俺の生きる道だったんだ。そして、俺は王になる。必ず、うまく使いこなしてみせる……そして、この世界の全てを手に入れる」
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