センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

17話 状況だけは一丁前に異世界モノ主人公っぽいキムロさん。

 17話 状況だけは一丁前に異世界モノ主人公っぽいキムロさん。

 暴露のアリア・ギアスをガン積みしてから、
 キムロは、

「……よし、もういけるな」

 そうつぶやいてから、
 カードホルダーに込められているプロテクトを、鍵で解除する。
 十分な暴露を積んだため、簡単に障壁を突破することができた。

 そして、カードホルダーの中に収められていた、
 ひときわ異彩を放つ魔カードを取り出すキムロ。

「……は、はぁ? ……ら、ランク……333? さんびゃ、く……え……?」

 その魔カードに記されているランクを目の当たりにして、
 キムロの頭が、しっかりとバグった。

 魔カードは、高品質なものでもランク10とかが精々。
 最近、一部の上位者勢の中では、ランク20の魔カードが流通しているというウワサも聞いたことはあるが、魔カードのランクというのは、そのぐらいが限度。

 仮に、ランク30の魔カードなどが存在したら、世界がひっくりかえるレベル。
 だというのに、目の前にあるのは、

「さんびゃ……さんびゃく……さんびゃくさんじゅう……えぇ……」

 手が震えた。
 何度も自分の目をうたがう。
 理解できない領域。

「夢……? 夢だよな……え、違う? え、マジ? 模造品? いや、でも……」

 最初は、夢をうたがった。
 次は、レプリカである可能性。

 しかし、この魔カードからは、確かに、強大な力の奔流を感じる。
 手に取った者だけが理解できる、エゲつないほどの波動。

「……ランク333の……自分の存在値を補強する魔カード……これを使ったら、いったい、どれだけ、存在値が上がるんだ?」

 想像もつかなかった。
 魔王や勇者の存在値は800を超えているというウワサはよく耳にしている。
 存在値800は、『とんでもない高み』だが、
 しかし、ランク333の魔カードの前では塵(ちり)みたいな数字。
 魔王や勇者ですら、使える魔法のランクは20~23が精々。

「単純にランクの数字だけで計算すると……もしかしたら……存在値1万とかになるんじゃ……」

 前世でまったく勉強していないキムロだが、
 しかし、そのぐらいの計算は流石に一瞬。

(これがあれば……魔王や勇者すら瞬殺できる……いや、そんなレベルじゃない……全世界の全てを支配する完全な王になることも可能……)

 もし、本当に、存在値1万になれるのであれば、
 『全世界を統べる王』ぐらいは余裕だろう。
 問題なのは、

(……これは、魔カード……つまり、使い捨て……もしかしたら存在値1万になれるかもしれないが、それは、たったの一度だけ……一瞬だけの栄華……それじゃあ、王にはなれない……その『一瞬だけの栄華を謳歌している間に、俺より強いやつを全員殺せば、俺が一等賞になれる』が……)

 頭の中で、必死に未来を描こうとする。
 あまり頭はよくないが、
 『欲望』だけは一丁前なので、
 どうにか、『理想の答え』に辿り着こうと必死になることはできた。


 ――キムロは、無数のチートアイテムをもって転生した、
 まさに、異世界転生モノの主役のようなポジションにいる。
 しかし、この世界に存在する『王級』の連中は、
 のきなみ、存在値が500前後、あるいは、それ以上と、
 バカみたいに強い連中ばかりで、
 キムロ程度の存在値では、
 いくら、チートアイテムをもっているといっても、
 さすがに歯がたたなかった。



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