センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
15話 自称、世界最高峰の運命力。
15話 自称、世界最高峰の運命力。
トコの切り札は次元が違う。
『存在値1000』の化け物でも、使える魔法のランクは『25』ぐらいが精々。
つまり、トコがもっている切り札は、『存在値1000級の魔法』の『10倍』以上の数値を持つチートということ。
その魔法が、どれだけの効力を発揮するのか、
トコ自身でも予想がまったくつかないレベル。
――トコは、その切り札をもっているから、まったく焦っていなかった。
『いざとなればどうとでもなる』と思える下地があると、心は軽くなるもの。
だが、
「……ん? メスガキ、お前……何か、とんでもないアイテムを隠しもっていないか?」
チンピラリーダーは、
めざとく、トコが隠している切り札の存在に気づく。
そして、
「俺は、戦闘能力じたいは、こいつらよりちょっとマシという程度だが……『嗅覚』と『運命力』に関しては世界最高峰の自信があるんだ」
そう言いながら、トコのカードホルダーを奪い取るチンピラリーダー。
ちなみに、彼の運命力は、確かに高い方だが、しかし、さすがに、世界最高峰ではない。
それは、ただの自称であり不遜であり誇称。
世界最高峰ではない――ものの、事実として、彼の『未来をたぐりよせる嗅覚』はなかなかのもの。
トコからカードホルダーを奪い取ったチンピラリーダーは、
さっそく、そのトコの切り札を奪い取ろうとしたが、
「……魔法のプロテクトか……鬱陶しいな」
破格のアイテムを、万が一にも盗まれないように、
トコは、自身のカードホルダーには何重ものプロテクトをかけている。
「こういう魔法も除去してくれればありがたいんだが、どこぞの『幻想を殺す手』とは違って、この魔石は、そういうことはしてくれないんだよなぁ」
などと、トコ的には意味不明なことを口にするチンピラリーダー。
何を言っているのか分からないと言う顔をしているトコと違い、
紙野は、
(……あのコワモテ……もしかして、俺と同じで……日本出身か……?)
もしかしたら、この世界に『幻想を殺す手』があるのかもしれないが、
しかし、そうではなかった場合、チンピラリーダーの発言は、
明らかに、『異世界からの転移者』を彷彿とさせるもの。
もし、そうならば、それを皮切りに、トコの誘拐に対して交渉できないだろうか、
と、紙野が考えている間に、
チンピラリーダーは、
「魔石では無理だが……こじあけるための鍵なら、持っているんだよなぁ」
ニタァっと笑ってそう言いながら、
アイテムボックスから、まがまがしい鍵を取り出す。
確かに、そのヤバそうな鍵なら開けられそうだった――が、
「ちっ……この防御壁、だいぶ強固だな。こじあけるには、ちょいとパワーが足りねぇ……仕方ねぇ……もうちょい暴露のアリア・ギアスを積むか」
そう言うと、
チンピラリーダーは、
「俺の名は気室(きむろ)。転生者だ。前世は、日本って国で、『ヤンキーの王様』に仕えていた『兵隊その一』だった」
とうとうと、自分語りを始める。
「日本でのうのうとヤンキーをやっていた……そんなある日、『ヌル』とかいう、やべぇやつが、ドラゴンボ〇ルのセ〇みたいに、テレビで人類に宣戦布告して、世界中の人間を殺していったんだ。あれにはビビったねぇ」
コメント