センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
2話 ニコトピアだけが神の全て。
2話 ニコトピアだけが神の全て。
紙野の動画のファンは推定十万人。狂信的、熱狂的なファンも多い。
ファンの熱量はハンパなく、20話ごとに、新しいオープニング・エンディングの支援動画が投稿されるほど。
『うぷ主は俺の神』
「ははは。神とまでいわれると照れを通りこして、申し訳なくなるな。俺なんて、チクタクダンスがないと、何もないただの蛆虫なのに」
紙野が人生史上もっともハマったゲーム。
チクタクダンス。
『ウディタ(PC専用の、RPGツクールの上位互換)』と『紙芝居クリエイター(ギャルゲ式の動画作成ツール)』と『人口知能作家(意識指向と感情値の計算で物語を自動生成するアルゴリズム)』を組み合わせた特殊なゲーム。
「世界のすべてを創造し、そこで起こるシナリオを楽しめるゲーム」
アイテム・キャラクター・世界観。すべてを創造できる。
そして、創造した世界をベースとした物語が自動で生成される。
「シナリオ生成に関して、ルールはいくつかある。けど」
既存のシナリオ(計五つ)の中から、根本となる軸を選ばなければならないが、しかし、既存シナリオが担うのは、あくまでも骨組み、軸、もっと言えば年表でしかない。
「歴史漫画を例にすればわかりやすいかな」
信長協〇曲・キン〇ダム・封神〇技のように、歴史的事実に基づいてはいるものの、キャラクターや根源的世界観は作者のもの。
『歴史の担い手(キャラ)』を設定すると、それを基にしたシナリオを勝手に構築してくれるイカれたゲーム。
「シナリオを殺すも生かすもプレイヤー次第」
それがチクタクダンス。
「だから、まあ、不遜かもしれないけど、この動画の圧倒的な人気の理由は、ゲームの性能だけじゃない。みんなに愛されているのは、俺が創った世界、俺が創造したキャラクター達だ」
チクタクダンスの動画投稿者は他にもいるが、モキュの動画『ニコトピア』ほど愛されている世界を創った者は一人もいない。
それは数字が物語っている。二位でも総再生数はニコトピアの一万分の一以下。
決して、二位の投稿者が無能なのではない。
ニコトピアが異常なのだ。
――なんせ、ニコトピアの総再生数は一億を超えているのだから。
「皆が愛してくれている。俺が創った世界を、俺が創ったキャラを、皆が待っている」
シナリオ上、どうしても固定の設定が必要になる『超々重要人物』は別だが、しかし、ほとんどのキャラクターが、見た目・能力・設定、すべてゼロから作られている。
そんな、『愛しい我が子』ともいうべきキャラクター達が、10万を超える人々に愛されているという、この震えが止まらない事実。
改めて噛みしめると、紙野は、また、ついついグシュグシュと泣いてしまい、袖でグシグシと涙をぬぐう。
「俺の人生は、もうこれだけでいい。ニコトピアを完成させる。それだけが俺の全て」
動画のタイトルでもあり、創った世界の名称でもあるニコトピア。
クソみたいな人生を支えてくれている唯一の趣味、生きがい。
拠り所。
つまりは、紙野創蔵の全て。
「あ、そうだ。人気投票はどうなったのかな」
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