センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
9915話 なんだろう。嘘つくのやめてもらっていいですか?
9915話 なんだろう。嘘つくのやめてもらっていいですか?
オメガエクスプロージョンは不発に終わる。
現状のトウシに可能な『ほぼすべてのオーラと魔力』を注ぎ込んだ、不退転の一撃をスカされてしまった。
(……どういう技や?! まさか、致命を回避した上で、相手を高確率で眠らせるとか? ふざけんなよ、そんな技……)
と、そこで、『のんびり観戦モード』になっているクロートが、
ニタニタと笑いながら、
「超苺の『死季折々』で眠らないとは、さすがだな、田中トウシ。超苺の初見殺しは、『専用の対策』をしていなければ、ほぼ確定で眠ってしまうチート技なんだが」
『眠り』に対して『汎用的な対策』しかしていな状態では余裕で貫通されてしまう。
それが、超苺の切り札の一つ『死季折々にて微睡(まどろ)みて』。
『体力70%以上残っている状態』の時に、『致命の一撃』を受けそうになった時だけ使える限定カウンター。
『死を前にした瞬間しか使えない』という、
だいぶ重たいアリア・ギアスが積まれているがゆえに、
その貫通力はハンパない。
このチートは、根本的に『超苺の体力70%以上を一撃で削れる強者』を想定している。
つまり、『どんな強者を相手にした場合でも、一矢報いることができるように』という、『強い意地』が込められた技。
そんな、超苺の意地に対抗してみせたトウシに、
クロートは、本気の称賛を送る。
「しかし、完全に詰みだな。田中トウシ。……気づいているか? 自分が超苺に、キッチリとハメ殺されたこと。超苺は、お前に『自分(超苺)』のことを、『対策必須の怪物である』と強く認識させた上で、最大級の一撃を、自分に向けるよう誘導した。なぜなら、最大級の一撃に対するカウンターをもっているから。登場してから、今現在にいたるまで、すべての一挙手一投足がワナという、超苺の徹底した戦闘スタイル。お前も見事だと思わないか?」
スラスラと、超苺のスマートさを解説するクロート。
その横で、超苺は、いつも通り、クールな表情で、
「……」
静かに、『虚空』を見つめていた。
いつだってそう。
超苺は、己の手柄を誇ったりしない。
決して、自分を語らない。
常に、悠然と、泰然と、世界を俯瞰で眺めている。
――と、周りの人間は超苺のことを認識している。
現状、クロートはもちろん、トウシも、超苺に対して、同じ感想を抱いている。
ところがどっこい!
――超苺が、本当のところ、
何を考えているかというと……
(……自爆されて死にそうになったから、ヤベェと思って、反射でカウンターしただけなんだけどなぁ……一挙手一投足にワナを仕掛けるような繊細なムーブなんて、今までやったことないのに、なんで、うちのクロートさんは、俺が『いつもやっている』みたいに、得意満面の顔で解説してんだ? 俺の行動を、100%誤解するだけでもギルティなのに、なんで、いつも、その誤解を、他者にも拡散しようとするかなぁ……なんだろう、ソースのない間違ったことを、さも本当のことかのように吹聴するの、やめてもらっていいすか?)
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