センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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9914話 オメガエクスプロージョン。


 9914話 オメガエクスプロージョン。

 あくまでも、無表情のまま、特に、何か感情を見せることなく、冷静に、カウンターを合わせていく。とてつもなく美しいムーブ。『投げキャラ』としての極致。

「ぐっ!」

 踏み込み足に合わせられて、腕をからめとられるトウシ。
 どうにか抜け出そうともがくが、完璧に極められてしまい、動くこともままならない。

 そのまま、足をさらわれて、
 地面にたたきつけられる。

 ――だが、そこまでは予想出来ていたし、ここまでは許すつもりで動いていた。

(……お前の方がワシより強いんは、所作を見れば分かるわ、ボケぇ!)

 地面にたたきつけられた状態で、
 どうにか、超苺の足を掴むと、

「――ギルティチェイン・オメガエクスプロージョン――」

 爆裂の技を放った。
 それは、かつて、とある究極超神の序列一位が、己の魂ごと消滅させようとして使った自爆技。

 己の全生命力をかけて、
 『超苺だけは殺す』という覚悟を示すトウシ。

 あえて、爆裂の範囲を縮小させることで、
 火力を限界まで底上げするという殺意マシマシのカスタム。

 クロートにはダメージが一切残らないが、別にいい。
 超苺というイレギュラー以外は、『センエース』がどうにかしてくれるはず。

(できれば、この手で助けたかったけど……まあ、ええわ。助かるんやったら、過程はどうでもええ。……ワシの全部……たくしたぞ……センエース)

 最後の走馬灯の中で、
 恋人の顔を思い出しつつ、
 英雄に全てをたくすトウシ。

 そんなトウシの覚悟に水を差すのは、
 目の前にいる寡黙な変態紳士。

「………………『死季折々にて微睡(まどろ)みて』――」

 変態紳士が、何かを口にした――と、認識した時にはもう遅かった。
 エゲつない睡魔がトウシに襲い掛かってくる。

 『意識の全て』が、睡魔対策にもっていかれる。
 ギリギリのところで『睡魔には打ち勝った』が、
 しかし、『それ以外に割く余力』はゼロだった。

 オメガエクスプロージョンは不発に終わる。
 現状のトウシに可能な『ほぼすべてのオーラと魔力』を注ぎ込んだ、不退転の一撃をスカされてしまった。

(……どういう技や?! まさか、致命を回避した上で、相手を高確率で眠らせるとか? ふざけんなよ、そんな技……)

 当然だが、トウシは、『致命的な状態異常』に対して、出来る限りレジストできるようビルドを組んでいる。
 これは、神の領域にいる者なら当然のたしなみ。
 『即死』『眠り』『完全麻痺』など、
 くらってしまったら、そのまま死に直結する系統の状態異常に対しては、
 徹底的に、事前対策をしておくのが、最低限度の神のマナー。

 もちろん、どれだけ対策をしたとしても、完全対策は不可能。
 ただ、トウシは、相手が、自分より10倍以上強い化け物だったとしても、
 『致命的な状態異常』だけはスルーできるようにビルドを組んでいる。

 ――にもかかわらず、
 超苺の眠りは、貫通してしまった。
 ギリギリ、レジストできたものの、
 必殺の攻撃を止められているので、
 貫通したと言っても過言ではない。

 力が入らない。
 頭が回らない。

 足に力を込めることすら難しく、
 トウシは、その場にへたりこむ。

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