センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
9912話 元主人公のフラグメント。
9912話 元主人公のフラグメント。
ヌルに感謝の祈りをささげていた超苺。
そんな彼の視線の先では、
Tが、
「……そ、そんなにアッサリと……セイバーリッチを奪うとか……ナメとんのか、クソが……」
顔の筋肉がヒクついていた。
看破されたことにも驚いたが、
それよりも、サクっと奪われた方が驚いた。
セイバーリッチの因子は、とても希少かつ危険なものなので、当然、無数のプロテクトをかけた上で、めちゃくちゃ丁寧に隠していた。
仮に、もし、万が一、発見されたとしても、そう簡単には奪えないように。
例えるなら、でっかい金庫にしまった上で、大量のワナをしかけつつ、海の底に沈めた――みたいなもの。
なのに、超苺は、
秒で見つけてしまった上、
すべてのワナをものともせず、
鼻息一つで開錠してみせやがった。
(超苺・ギガロブルー・カノープス……こいつの異常性は、ヌルと同等……っ……いや、へたしたら……こいつの方が、ヤバいんとちゃうか……?)
超苺の異常なまでの運命力に触れたTは、
心底から、超苺に恐れを抱くようになる。
誰だってそう。
超苺と対面した者は、その、とんでもない力に瞠目する。
――基本、ただ『偶然』が積み重なっただけなのだが、
あまりにも、丁寧に積み重なり続けるため、
むしろ、もはや、『計算による策略』よりも恐ろしいかもしれない。
(もしかして、こいつ……『元主人公』のフラグメントをもっとるんちゃうか? このイカれ具合……ひょっとしたら、カミノか? いや、キメラの線も……それとも……まさか……『無崎(むざき)』? この神がかりの怖さ……無崎のカケラを持っとると言われても納得できる……か、仮に無崎の因子を持っとるんやとしたら……ワシ単騎では役者が不足しすぎとる……)
『緻密な計算』が相手であれば、予測し、出し抜くこともできるかもしれない。
しかし、狂気的な運命力をブンまわされてしまえば、対処のしようがない。
――演算速度において、右に出る者がいないTにとって、
超苺のような『超絶イレギュラー』は、まさに天敵。
あらゆる物事を『整理された視点』で見ているTでは、
どうあがいても、抗いきれない、最悪の相手。
「……詰みやな……正直、ナメとった……ここまでの化け物とは思ってなかった……今のワシでは、対抗できん……」
心が折れてしまったT。
しかし、
「……でも、簡単に勝てると思うなよ。ワシぐらいなら、出し抜けるかもしれんけど……こっちには、まだ、センエースがおるんや……あいつなら……」
センエースに対する信頼。
その信頼に対し、クロートは、
「センエースが破格の英雄だってことは知っている。真・神帝陛下よりは下だ。それは、すでに証明されている。無様に全てを奪われて、そのまま終わっておけば楽になれるものを、無駄なあがきで延命しているだけ。――というか、そもそもにして、センエースは、実力で、陛下から逃げたわけではない。利用価値があったから放置されているだけ。陛下がその気になれば、センエースを完全に消滅させることなどたやすかった」
「……」
Tは、黙って、クロートの目を見つめる。
Tは、『その可能性』も、考慮していた。
ヌルがセンエースを泳がしている可能性。
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