センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
9904話 超苺なら、なんとかしてくれる。
9904話 超苺なら、なんとかしてくれる。
次元に亀裂が入って、その奥から、喪服を着た青年が這い出てくる。
そんな彼に対して、クロートは、
「悪いな、超苺(こいちご)。田中トウシが相手だと、さすがに、私一人では厳しかった。加勢してくれ。一時的なサポートなら、どうにかなるだろう?」
彼――超苺にそう問いかけると、
超苺は、静かに、小さくうなずいた。
超苺を『この世界に縛り付ける』のは、『前提』が足りないため出来ない。
しかし、一時的に協力を仰ぐだけなら、やり方次第で出来なくもない。
「ちなみに、超苺。どうにか、なにかしらの奇天烈なウルトラCを決め込んで、長期的に、こっちに滞在することはできないか? お前がいてくれると、非常に助かるんだが」
そう問いかけると、超苺は、
「……」
黙ったまま、スっと、小さく首を横に振る。
クロートは、折れずに、
「お前がその気になれば、出来るんじゃないか? ほら、お前なら――」
「………………不可能」
「そんなことを言いながら、本当は?」
「………………何度も言っているが、お前は、俺を買いかぶりすぎだ」
小さな声、遅いテンポでそう言いながら、
超苺は、心の中で、
(なんで、俺なら出来ると思うんだよ、このクソイケメンが。てか、俺に何ができるってんだ。逆に教えてくれよ。……俺は、別に、特殊な能力があるわけでも、特に賢いわけでもないだろうが。……どいつもこいつも、勘違いしやがって……クソめんどくせぇ……けど、そういう誤解を解くために説明するのもめんどくせぇ……詰んでるなぁ、俺の人生……)
超苺・ギガロブルー・カノープス。
彼は、事実、非常に高性能な『カウンタータイプの投げキャラ』なのだが、
しかし、『実質的なスマートさや聡明さ』などは持ち合わせていない。
『ほどよいラッキースケベ』をこよなく愛しているだけの変態紳士。
『おしゃべりがダルくて嫌いなため、基本、黙っている』のと、
実は、『激烈に運命力が高い』ため、なんだかんだ、『真・神帝陛下(ヌル)陣営』にとって、良質な結果を出し続けてきてしまってきた、
という、二つの要素が、からみあった結果、超苺は、周囲の面々から、
『寡黙な切れ者』
『ヌル陣営で、最高格の天才』
と、謎の高評価をいただいてしまった。
超苺は、『違うよ。俺はただの変態紳士だよ』と、周囲の『誤った認識』を『修正したい』と常々思っているのだが、『誤解を解くための対話』を『死ぬほど面倒くさい』と思ってしまう性格であるため、誤解が解かれることはなく、むしろ、加速して、今では、
『超苺に任せておけば、なんだかんだ、どうにかなるよね?』
などという『クソ重たい期待』を背負う羽目になった。
そんな『ウザすぎる誤解』を『背負い続ける気』は一切ない超苺は、
『テキトーなところで失敗する』という背負い投げを決めて、
『なんだ、超苺って、あんがい使えないやつじゃん』
と、周囲に、『適切な評価』をしてもらいたいと思っているのだが、
超苺も、真・神帝陛下に対する忠誠心はあって、
仕事は、ちゃんとまじめにやるのと、
いつも、なんだかんだ、想定以上にうまくいってしまうため、
結局、評価が維持されてしまう、
という、悪循環に陥っている。
「超苺。お前ならどうにかなると思うから、頑張ってみてくれ。お前に出来ないことは、たぶん、ない」
(だ、ダルすぎる……っ)
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