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9892話 『ショデヒ』VS『バーチャ』。


 9892話 『ショデヒ』VS『バーチャ』。

(――オーラドールですらない、ただの分身……奇襲に、パワーのないデコイを投入?! 本体は――)

 死角からの唐突な奇襲だというのに、火力のないデコイを使うという、
 あまりにも用心深い一手。

「――上か?!」

 バーチャのセンサーに反応。
 顔をあげると、すでに、ショデヒの準備は仕上がっていた。

 バーチャの上空で、極限までフェイクオーラの質を高めて、身を隠していたショデヒは、
 ためにためた魔力とオーラを全ブッパする構えを見せていた。

 右手をバーチャに向けてロックオン。
 全身全霊の一撃を放つ。

「――異次元砲」

 凶悪な照射。
 ちょっと前までのショデヒでは絶対に撃てなかった神の一手。

「異次元砲ぉおおおおおお!」

 バーチャは反射で迎え撃つ。

 両者の間で、バチバチと、照射のぶつかり合いが起こる。
 二人の異次元砲は、それなりに拮抗していた。

 その事実に対し、バーチャは、心の中で、

「はぁ?! たかが『数千万』程度の存在値で、私の異次元砲に拮抗?! ばかなぁあああ! ありえないぃいい!」

 神の中でも最高位の神である自分の異次元砲と拮抗するなどありえない。

 そんな疑念の中にいるバーチャに、
 ショデヒは、

「バーチャ・ルカーノ・ロッキィ。神化における現時点での出力3億……潜在的なMAX存在値500億……その高みに到っているという発言は事実だったか……おそろしいヤツだよ……『超神』とは、そこまでの化け物か……まあ、究極超神化が使えるクロート様と比べればカスだが」

 などと言いながら、
 今まさに『異次元砲を放っている右手』――その手首に巻いているア〇プルウォッチのような端末に向かって、

「オッケー、タナカッチ。私の限界を殺してください」

 命令を下すと、
 ショデヒの魂の奥が、グワっと熱くなった。
 燃え上がる魔力。
 オーラが膨れ上がる。
 明らかに、ショデヒの限界を超えた力……
 だけれど……

「……ちっ……今の私では、『これ以上の出力』は無理か……ぐぅ……せっかく、『最高位の究極超神器』をお借りしているというのに、私のポテンシャルが低すぎる……惨めな話だ」

 ぶつぶつと自虐を口にしてから、

「真・神帝陛下のお役に立てるだけの力を得る――それが今の私の最大の目標。バーチャ・ルカーノ・ロッキィ。貴様には、そのための経験値になってもらう」

 ショデヒは、自分の中の可能性に期待をする。
 どうにかして、『価値のある存在』足らんとして、
 必死になって、バーチャにくらいついていく。

 クロートに開いてもらった『神の力』と、
 クロートからもらった『神器』。

 どちらも、ただ与えられたものだが、
 しかし、そんなことはどうでもよかった。

 大事なことは、
 『力を与えられただけである』という現実を嘆くことではなく、
 『与えられた力を、どれだけ上手く使えるか』という点である。
 ――それが、ショデヒの合理的な解釈。

 コレは、ショデヒにとって、
 『現代人がパソコンで仕事をする感覚』に近いと言える。

 『今、自分は、パソコンを使って仕事をしているが、このパソコンという機械を造ったのは自分ではない』という事実に対して、だから『自分は与えられた力を使っているだけのダメなやつだ』などと、己を卑下する意味など一ミリたりともない。

 『便利な技術』を、どれだけうまく扱えるか。
 その序列の中でトップ層を目指すこと。
 生産性の観点では、それこそがもっとも大事。

 極めてロジカルかつ生産的な視点で、神に尽くそうとするショデヒ。

 そんなショデヒの一手一手に対し、バーチャは、

(……凶悪な神器を与えられているのか……神種も、ショデヒごときが自力で開けるとは思えん……誰かに『開いてもらった』と解釈する方が合理的……しかし、信じられんな……『それだけの力を持つ者』が、ティー・ヒャクヨン以外にも、まだ存在していたとは……まさか、センエースか? ……いや、違うだろう。あの愚直バカが、ショデヒのような純粋悪に力を与えるとは思えない)

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