センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
9886話 この上なく尊き御方に尽くすことだけが、私の望みの全て。
9886話 この上なく尊き御方に尽くすことだけが、私の望みの全て。
(……さて、どうしたものか……『存在値500以上のホアノス』を軽々といたぶっているところから鑑みるに、おそらく、この悪魔は、とんでもなく優れた力を持つ……)
ホアノスはカスだが、間違いなく優れた力を持つ超人。
この世界における最高格の化け物。
ミルスのレバーデインとほぼ同等の力を持つ魔法戦士ホアノス。
だが、そんなホアノスが、何の抵抗も出来ない悪魔――それが、彼、『バリアブル・ミシャンドラ・クロート』なのである。
その事実をもとに、ショデヒは、この場の処理の仕方を考える。
(……バーチャ級の『イカれた化け物』である可能性も考慮した上で行動するべき……少なくとも、下手に争うのは、完全に悪手)
もし、聖主やバーチャを知らない段階であれば、もっと、短絡的に、愚かな手を打っていた可能性もあるが、今のショデヒの中には、二人の化け物が根付いているため、そうそう悪手をうつことはない。
「クロート……さん……でしたっけ? あなたが強いのはよく分かりました。それで、あなたの目的は? 先ほどのような、エレガントがどうこうという、抽象的なソレではなく、具体的に、何を望んでいるのか、教えていただけますか? もし、お手伝いできそうであれば、国をあげて、手伝わせていただきますよ」
クロートの手の中で、ホアノスが白目をむいて泡を吹いているが、
もはや、ショデヒにとって、そんなことは、どうでもいいことだった。
「真・神帝陛下の望みを叶えること。この上なく尊き御方に尽くすことだけが、私の望みの全て」
「……なるほど、なるほど……ええ、わかりますよ」
何もわかってはいないが、しかし、一応、同調しておく。
相手と『友好的に交渉するとき』の手法の一つ。
こうなった時のショデヒは、まるで百戦錬磨の営業マン。
ヌルリと、相手の懐に飛び込んでいこうとする。
「その『尊き御方』の『望み』を、具体的に教えていただけますか? 我が国には、優れた能力を持つ者が多い。うまく利用することをお勧めします」
まずは、相手にとって有益な情報を提示する。
交渉のテーブルにつかせるための一手。
『こうしてほしい、ああしてほしい』という要求だけを口にする営業マンを受け入れる取引先など存在しない。
まずは『相手にする価値がある』と思ってもらう。
それが、飛び込み営業の基本。
これまでずっと、他国の『上位者(変わり者)』相手に、裏の取引・駆け引きを仕掛け続けてきたショデヒ。
腕の見せ所だと、心にガツンと気合を入れて、クロートとの商談を進めようとする。
交渉の鉄則に『いかに冷静でイカれているか、相手に理解させることがコツ』――というものがあるが、ショデヒは、まだ、その段階に達していない。
現段階は、その領域に踏み込む前の話。
交渉のテーブルについてもらうための交渉の時間。
ショデヒは、どうにかして、『確実に強者であるクロート』と友好的にことを進めようと頭をひねった。
――が、
そんなショデヒの努力は無駄に終わる。
クロートは、ニヤリと、黒く微笑んで、
「もちろん利用させてもらう。私のために『下地』を作っておいてくれてありがとう」
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