センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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59話 コンピュータウイルスを送り込んだのに、何もできないままバスターされたら、つまらない。


 59話 コンピュータウイルスを送り込んだのに、何もできないままバスターされたら、つまらない。

「……だいぶ性根が腐っとるな。さすが、ヤクザの神様。……あれ? でも、それやったら、いつか、この世界の神様に、ザンクさんのイタズラがバレて殺されるってこともありえるんかな?」

「せっかくコンピュータウイルスを送り込んだのに、何もできないままバスターされたら、つまらないだろう? だから、君のことは、俺が、できるだけ隠匿させてもらう。この世界の神にバレないように。トウシのような厄介な監視員にもバレないように。ちなみに、ここまでも、ずっと君の存在がバレないように隠してきた。だから、104にもバレなかったんだよ」

「ほう。つまり、ザンクさんがかぶっとったんは、ヤクザ神様印の『石ころぼ〇し』やったわけか。そら、強いわけやなぁ」

「――さて、そろそろ俺は行くよ。さっきも言ったように、ヒマではないんでね」

 そう言いながら、その場から去ろうとして、
 そこで、

「あ、そうそう。最後に言っておこうか。田中ザンク。別に、ミッションとかを与える気はないけど、一つだけ、『こうやって生きてほしい』という願望を伝えておく」

「なんすか?」





「――この世界で、派手に遊べ」





 最後にそう言うと、
 蝉原はどこかに消え去っていった。

 蝉原がいなくなって、
 数秒ほど経過してから、
 確実に、この世界から消えたと確認できたところで、

 ようやく、
 『ザンク』は、

「ふぅぅぅぅうう…………」

 と、とても長い息を吐いてから、
 スっと、顔を伏せて、





(……計画通り……)





 黒い笑顔で、ニヤリと笑う。

(……なんとかうまくいった……よかった……ほ、ほんとうに……よかった……)

 ドス黒い笑顔を浮かべてはいるものの、
 その内心はバクバクで、
 今も、手には大量の汗がにじんでいる。

(こんなギリギリの勝負は……これっきりにしたいところ……なんやけど……まあ、でも、たぶん、ここからも、こんな地獄を超えていかなアカンのやろうなぁ……はぁ……)

 深いタメ息がこぼれる。
 ザンクの闘いは、何一つ終わっていない。
 というよりも、これから、タナカ・イス・ザンクの『本当の闘い』が始まる。

(……てか、ホンマにバレてへんのやろうなぁ……『泳がされとるだけ』って可能性は……いや、さすがに、それはないはずや……ここまできて、『俺(1001号)のカケラ』を残すことの意味はないし、『テラスのカケラ』を、『俺に奪われたまま』にするはずがない……)

 ザンクは多角的に頭を働かせる。
 バレている可能性はあるだろうか。
 あるとしたら、どのぐらいだろうか。
 もし、バレているとしたら、どのように対処するべきか。
 ――そこまで考えたところで、

(今の俺に対処する術はない……『バレてへん』という希望的な予測を前提にした上で動くしかない)

 不明瞭な現実と向き合う。
 確定した未来も過去も存在しえない。
 そんな地獄の中で、もがき、あがき、苦しみ続けるという覚悟を決める。

(……というか、実際のところ、バレてへんはずや。状況を鑑みるに……蝉原にとって、『テラスのカケラ』は、絶対に必要なもの。『偽物を掴まされた』と気づいたら、絶対に、俺を許さんはず……うん……バレてへん……バレてへんはず!)

 さっきも言ったように、ザンクの闘いはここから始まる。
 だというのに、『最初の一歩を躊躇する理由』ばかりを並べても意味はない。
 というわけで、
 ザンクは、『自分の作戦はうまくいった』と仮定した上で、
 今後の計画をたてることにする。

(いやぁ……しかし、ほんまにギリギリやったな……はぁ……ああ、あかんわ。手足が震え出した……蝉原の前ではなんとか我慢したけど……ホっとしたら、体が言うことをきかんようになってもうた……)

 先ほど、蝉原と、『上っ面の対話をしていた時』のザンクの心情は、その言葉の薄っぺらさとは対照的に、バックバックのドッキドキだった。

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