センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

104話 センテラス、探偵さ。


 104話 センテラス、探偵さ。

「閃壱番(せんてらす)、探偵さ」


「……せん……てら……す?」

「いや、引っかかるとこ、そこ? 別に、名前はボケてないんだけど。まあ、確かにクソみたいなキラキラネームではあるけれど。『女神の中で一番はアマテラスだから』とか、わけの分からない理由で、妙な当て字をつけられた、残念ネームではあるけれど。ちなみに、もし、男で生まれていたら、『エース』って当て字をつけるつもりだったらしい。……どっちもどっちだけど、まだ、そっちの方がマシな気がする」

 テラスは、一度、タメ息をついてから、

「ちなみに、あんたの名前は? あ、あと、あっちのヤバそうなヤツの名前も教えて」

 そう言いながら、ザンクと、サイアジを、指さす。

「お、俺は……ザンク……あいつは……サイアジ……」

「丁寧な紹介、ありがとう。で、あんたは、今、あちらのサイアジさんからボコボコにされている状態で、現状、絶賛救援募集中、と。その認識で、間違いない?」

「あ、ああ……」

「助けてほしい?」

「た、助けて……ほしい……まだ……死にたくない……だから……どうか……たすけて……」

 彼女について何も知らない。
 どこから現れたのか、どういう存在なのか。
 ザンクは何も知らない。

 センテラスという名前から、
 もしかしたら、『センエース』の関係者?
 と、かるく疑ってみたりもしたが、
 仮にそうだったとして、だから何だ、とも思った。

 正直、『センエースの関係者』であったとしても、サイアジに勝てるとは思えない。
 『おそらく、この世の誰も、サイアジには勝てないだろう』と心が弱くなっている。

 まだ、わずかに残っている『ザンクの中の男の部分』は、
 『彼女に対して求めるべきは救援ではなく、逃亡を促すことでは?』
 などとも考える――が、しかし、
 弱さを徹底されている今のザンクに、
 実際、他人を慮る余裕はない。

 だから、無様に、すがりつく。
 『センエースの関係者かもしれない』から、
 ではなく、単純に、
 『誰でもいいから救ってほしい』と願っているから。

 その弱さは、本来のザンクであればありえない無様さ。

 絶望的かつ危機的な状況で、
 心がとことん弱っているがゆえに、
 ザンクは、彼女にすがりつく。

 己の弱さに身をゆだね、
 奇跡を信じて祈る姿は、ただの愚者。

 そんな彼の前で、
 彼女――センテラスは、

「あいつをぶっ殺し、あんたを救出する」

 そう復唱してから、


「ミッション、了解」


 乙女ちっくな可愛らしさなどみじんもない、
 漢(おとこ)の中の漢(おとこ)らしさ全開のスタンスで、
 首をゴキっとならして、
 全身に、オーラと魔力を充満させていく。

 そんな彼女の姿を見たサイアジは、
 いぶかしげな顔で、

「……どのコードにもあてはまらない……貴様はなんだ? どういう命だ?」

 その問いかけに、テラスは、サラリと、

「さっきの自己紹介、聞いてなかった? 悪いけど、ついさっき、盛大にスベったばかりだから、もう一度ボケる気はない」

 そう言いながら、テラスは、
 胸の前で、両手を合わせて、

「――神化――」

 己の中のギアを上げた。
 その瞬間、彼女の全てが爆発的に膨れ上がる。

 凶悪に大きくなった彼女の背中を見て、
 ザンクは、ただただ目を丸くした。

「……女神……」

 『ただ覚醒技を使っただけ』だとは思えなかった。
 今のザンクにとって、彼女はまさに、希望の女神。


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