センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
89話 禁止魔カードの作り方。
89話 禁止魔カードの作り方。
ザンクさんは、暗号解読に特化した鬼才。
『ヒント』と『カギ』さえあれば、
どれだけの難易度を誇るパズルであろうと、こじ開けることは可能。
ザンクさんの頭脳は格が違う。
田中トウシという異常種と比べれば劣るというだけで、
『それ以外のすべての生命』を置き去りにしている希少種。
「完全に開くんは、まだまだ無理……けど……『禁忌の一部』に触れることは可能……」
ザンクは、その知性を凶器にして、むりやり、パズルを解き散らかしていく。
頭脳がきらめく。
常人では永遠を必要とする高次の演算を秒で処理していく。
――その途中で、
『今の、この流れも、誰かにコントロールされているのだろうか?』
などと考えたりしたが、
(順調に成長はできとるからな……まあ、仮に、コントロールされとるんやとしても、今のところは、まだ、乗っかっといたるわ……)
決して『愉快』ではないが、『絶対に許容できない不愉快』とも言い切れないのが現状の事実。
(いつか、『すべてを超越できる力』を得た時には、『ザンクさんをオモチャにした誰かさん』に、必ず、一発カマさせてもらうけど)
などと、心の中で折り合いをつけつつ、
ザンクは、禁忌に触れていく。
かなりの難易度を誇る作業だったが、
しかし、センとの闘いで『ほぼ覚醒した』と言ってもいい、今のザンクさんにとっては、ちょっと難しい『知恵の輪』でしかなかった。
ほんの数分で、
ザンクは、コスモゾーンの禁忌に届く。
そこに隠されていた情報は、
「禁止魔カードの作り方……オモロそうやないかい」
ニタリと黒く微笑むザンク。
『禁止』と言われると、むしろ、やってみたくなる心理。
人の心は、いつだって、複雑怪奇。
カリギュラな誘惑に誘われたザンクは、
自重を忘れて、前へ、前へ、前へ。
「基本構造が、魔カードとは異なる……基本となるのは『運命のアリア・ギアス』と『禁忌のアリア・ギアス』……原始的なコトワリを否定する盟約。基本となるのは、一応、天命合一(てんめいごういつ)の思想。生命の中に存在する小宇宙(コスモ)との関係性。虚実にメスを入れるトロイの木馬。ナノ・スピリットによる統括を阻害する、別ベクトルからのアプローチ。Eマナの信号を不正操作する枠外のシステム」
一つ一つを理解していく。
禁止魔カードとはなんぞや。
その疑問と向き合う。
気づけば、数時間が経過していた。
外では、既に、集中修行は終了しており、
すっかり夜になっている。
それでも、ザンクの集中力は途切れない。
人の集中力の限界は1時間半だと言われているが、
ザンクに、その定義は当てはまらない。
ザンクは、深く、深く、集中していく。
そして、ついには、『シャットアウト・ゾーン』の領域へと届く。
それは、『無我の境地』とも呼ばれている、完全集中状態。
――ザンクの親戚の中には、任意かつ一瞬で、この完全集中状態になれる者がいる。
ザンクは、そこまでの超越者ではないが、
時間をかけて、じっくりと、自分の奥深くへと潜ることで、
完璧なる『完全集中状態』に到ることも可能!
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