センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

76話 『元雷ゴブリン』VS『田中ワンダーマン』


 76話 『元雷ゴブリン』VS『田中ワンダーマン』

(素晴らしい……『物理的な死角』に注意力が向いていたボクの『意識上における死角』をついた一撃……速度も、オーラも、魔力も、申し分ない……存在値的には200にも満たないが……彼の可能性は、黄金よりも眩しい……っ)

 本気で美しいと思った。
 だから、ドーキガンは、センの拳を顔面で受け止めた。

 ――その身で、感じてみたくなったのだ。
 彼の強さ。
 彼の覚悟。
 彼の想い。
 その全てを、体で直に感じたくて仕方がなかった。
 そのぐらい、
 センエースの輝きは、ドーキガンの瞳に眩しく映った。

 センエースの拳を顔面で受け止めるとき、ドーキガンは、防御力の方に回していたオーラを、かなりの割合でカットしていた。
 ステータス差を考えれば、センの攻撃で、ドーキガンがダメージを受けるわけがない。
 しかし、『無防備』状態で拳を受ければ、当然、顔の骨は折れるし、鼻からも血が溢れる。

「ぅ……っ……」

 ズキズキとする顔の痛みを感じながら、
 ドーキガンは、

(とんでもない原石……もし、彼が、あと千年ほどはやく生まれていて、『すでに完成された状態』で『ボクの前』に立っていたならば、ボクは、おそらく、彼の足元に傅(かしず)き、弟子にしてくださいと懇願していただろう)

 彼がたどり着くであろう未来を想い、
 ドーキガンは魂を震わせた。

 と、その時、


(――『イマジナリィ・マリオネットゲイザー』――)


 それまでは静観していた『モナルッポの召喚獣』が、
 ドーキガンの横を通り抜けて、
 センエースに殴り掛かった。

 モナルッポの召喚獣――田中・イス・斬九は、
 ドーキガンの動きをトレースした上で、

「キシャアアアア!」

 と、奇抜な雄叫びをあげながら、
 センの顔面に向かって拳をつきつけた。

「くぉおぁっ!!」

 ザンクの動きはキレッキレだったが、
 ステータスが低いので、
 今のセンでも、ギリギリ避けることが出来た。

「なっ……マジでかっ?! ただのワンダーマンっぽいのに、なんだ、その動きっ! はぁああ?!」

 異常にキレッキレの動きをみせるザンクに、センは心底困惑しているが、
 そんなセンの動揺が落ち着くのを待ったりせず、
 ザンクは、さらに、華麗な追撃の一手をぶちこんでいく。

 ただの召喚獣では絶対にありえないほど洗練されたムーブ。

(……これほどの召喚獣を操る召喚士ポール……なるほど……ゾメガやドーキガンに匹敵するってのはちょっとアレだが、しかし、際立って高性能だってのは嘘じゃねぇな……)

 センは、脳を沸騰させて、
 ザンクのキレッキレな動きに対応していく。

 ――一介のワンダーマンが『想定外の動き』を見せたことに、
 最初こそ、かなり驚かされたものの、しかし、

(ん……見えてきたぞ……なるほど、ドーキガンの動きをコピーしているのか……)

 『長年にわたる地獄』の中で磨き上げてきた戦闘考察力で、
 ザンクの秘密を速攻で暴いて見せるセン。

 続けて、センは、

(雑なコピーだな、キレはいいけどトロい……いや、コピーの精度が低いんじゃなく、こいつのスペックが低いのか……)


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品