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56話 舞い散る閃光。


 56話 舞い散る閃光。

(バーチャと戦った経験が活きた……結局、やっぱり、ザンクさんの完全勝利でした、っと)

 バーチャとの闘いで、『神闘』の片鱗に触れたザンク。

 絶対的に足りていなかったピースが埋まり、
 ザンクは、『コスモゾーン』に対する理解を大幅に深めた。
 もちろん、まだ、完全に理解したわけではない。
 しかし、確かなブレイクスルーが、ザンクの中で巻き起こった。

 ザンクは歓喜する。
 この喜びは、経験した者にしか分からない。
 脳汁があふれて、顔がほころぶ。


(たどりついた……コスモゾーン内部にある『絶対禁域』の片隅……)


 そこに隠されていた情報は、

(……舞い散る閃光……)

 この世界の核心部分に触れる重要なデータ。

(世界は無数に存在する。そんな、『大量に存在する世界』の中心人物……ありていにいえば、この世界の主人公。そんな、とんでもない背景を背負った化け物が、この世界のどこかに存在しとる……)

 詳細は不明。
 細かい情報を獲得しようとすると、さすがに弾かれてしまった。
 常に『もっとも大事な情報』だけは、強固なプロテクトに守られている。

(こいつを見つけだすことが出来れば、何かが変わる。そんな気が…………ん?)

 と、そこで、
 一瞬、頭の中を、疑念が貫いた。

(……これ、もしかして、思考を誘導されとる?)

 ふと我に返る。
 多角的かつ並列的な思考を得意としているからこそ、脳裏をかすめた疑問符。
 要所要所で、的確かつ絶対の壁にぶつかり続けたからこそ抱いた困惑。

 『まっすぐしか進めないアリ』を『迷路のゴール』に辿り着かせるため、的確な場所に、的確なタイミングで壁を設置していく。
 ……そんな、『イヤなイメージ』が頭の中でクッキリとしていく。

(……仮に、この『誰かに思考を誘導されとるかも』という『推測』が『事実』やったとしたら……ちょっと、エグいほど腹立つな……ザンクさんを使って、その不愉快なゲームをやっとる誰かさんに、どでかい一発をかまさんと気がすまん……)

 ザンクさんは、負けず嫌いで、そして、
 それなりにプライドが高い。
 『銀河の正統なる支配者であり、知性の最上位に位置しているのが、このタナカ・イス・ザンクである』という強いプライド。

(誘導されとるんやとしたら、そのルートから、外れたいところやけど……)

 ザンクさんは、二つの分岐点の前に立つ。

(舞い散る閃光に関するデータを深掘りしていくか……それとも、まったく違う道を進んでみるか……)

 もし、誰かに誘導されているのだとしたら、その狙い通りに進んでいくなどありえない。
 そんなものはプライドが許さない。
 自分の人生は、自分の意志で、自由に選択する。
 ――それが、ザンクさんのプライド。

(……けど、現状やと、舞い散る閃光に関するデータを集める以外に道がないんも事実なんよなぁ……)

 何か、ほかのヒントになるものはないかと探してみたが、
 しかし、ことごとくプロテクトがかかっており、
 そして、絶対に突破することが出来ない。

(なんか、一本道のロープレをやっとる気になってきた……)


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