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45話 東志やないかい。


 45話 東志やないかい。

「バーチャ様に会えないかなぁ、と思っておりまして」

「会ってどうするん?」

「前回、あなたからいただいた魔カードを、召喚の魔法として使わせてもらって、強力なモンスターを召喚したので、再挑戦してみようかと思いまして」

「中級モンスターを2体召喚した程度では、何もできんと思うけどなぁ……ていうか、あれだけ高ランクの魔カードを使って、ワンダーマンとスタービーストしか召喚できんかったん?」

「ランクではなく、潜在能力の厳選に力の大半を使いました。その結果、スタービーストの方は、非常に強力な個体を引くことができまして……まあ、そっちで力を使いすぎて、ワンダーマンの方は、少々、低品質の個体になってしまったんですが……」

「……んー……なるほど、確かに、こっちのスタービーストは、なかなかやな……」

 などと、ドーキガンを観察しつつ、感想を口にしている彼の顔を、
 ザンクは、まじまじと見ながら、



(……東志やないかい……)



 笑ってしまいそうになるのをこらえていた。

(――ずっと『多分、東志がからんどるやろうなぁ』と思っとったけど、ドンピシャやったな。さすが、ザンクさん。洞察力えぐいわぁ)

 などと、心の中で笑いつつ、
 注意深く、彼の観察を続け、

(しっかし、こっちは気づいたったのに……向こうは、ザンクさんのこと、まったくわかってない様子やな……東志にとって、親戚連中の中では、ザンクさんが、一番、なじみ深いはずやのに、一ミリも気づかんとは、薄情なやっちゃで)

 『なじみ深い』と言っても、
 『ザンクの方が、何度か、東志にウザ絡みしただけ』なのだが。

(まあええわ。とりあえず、無防備に姿をさらしてくれたワケやし、サクっと、こいつの情報を盗み見させてもらおうか)

 フェイクオーラで隠蔽しつつ、
 ザンクは、トウシを解析しようとする。

 しかし、

(……おっと……最上級のプロテクトがかかっとるな……まあ、この段階で、こいつが異常な存在ってことは確定。もはや、他人の空似って線も、ないに等しい)

 そこから、ザンクは、全力で、彼の情報を盗み見ようとしてみたが、

(あかんな……この壁を突破するんは無理やな)

 強固すぎて、なにもできなかった。
 しかし、だからといって、そのまま引き下がるザンクさんではない。

(……すべての情報を完全に封じるんはさすがに無理……ログをちょっと拾うぐらいなら……)

 頑張ってみた結果、
 ザンクは、

(……よし、オッケェエエ! 世界に刻まれた『すべての生命活動に関する行動履歴』を完全にブロックするんは無理無理無理ぃ!)

 などと、心の中で叫びつつ、
 ザンクは、彼のログを解析していく。

 断片的な行動履歴を拾えただけなので、
 大した情報は得られなかったが、
 しかし、ザンクの解析能力があれば、

(……間違いない。こいつが、神……もしくは、神のサポート役。この世界のシステムに対し、明確な管理者権限をもっとる。普通に、ドーキガンに対して夢を通じて行動を操るという、だいぶキ〇ガイなことをやっとるし)


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