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28話 めちゃくちゃ弱いワンダーマン。


 28話 めちゃくちゃ弱いワンダーマン。

「へぇ、そんなに俺を高く評価してくたんすか。いやぁ、見る目があるなぁ。お察しのとおり、俺は、たまに、バカあつかいされますけど、実は、けっこうやる男なんすよ」

(己を愚者だと理解している者は、まだ、救いがある……しかし、自分の愚かさすら認識できていなカスは、本当に、救いようがない……)

 心底から、モナルッポを『どうしようもないカス』だと認定する。
 ここまでは、まだ、どこかで、『演技の可能性』も考えていた。
 『自分(カバノン)』に上限を出させるための『巧みな誘導』の可能性も考えていた。
 王族という地位にある者は、そういう『狡猾(こうかつ)さ』や『老獪(ろうかい)さ』も持ち合わせていなければいけない。

 ゆえに、カバノンは、どこかで、『自分は、まんまと乗せられたのではないだろうか』などと深読みしていた部分もなくはないのだが、しかし、もはや、そんな思考は吹っ飛んだ。

(モナルッポは、ただのバカだ。相手にする必要がない)

 ここまで愚かしいとなると、
 ミルスとしても、もはや、モナルッポに関しては、諦めていることだろう。
 モナルッポを引き合いにだして、ミルスを攻撃することは、
 もはや、逆に、『社会的な礼儀に反する行為』とすら思えてしまう。

 ――などと、カバノンが、モナルッポに対する評価を決定づけていると、
 そこで、モナルッポが、

「それでは、さっそく、はじめましょうか。さあ、いけ、ワンダーマン。お前の輝きを見せつけてやれ!」

 そう命じられたワンダーマンは、
 元気よく、ヘルズ覇鬼に突撃していった。

 ワンダーマンは、一応、中級星霊種のはずなのだが、
 しかし、その動きは、非常にモッサリとしていた。
 突撃の途中で、けつまずいて、コケかけたりする始末。

 星霊種は、非常にバランスがいい種族で、
 マリオ○ートで言うところのマ○オ的なポジションの種族。
 突出した個性はないが、際立って劣った部分もない。

 ――にもかかわらず、モナルッポが召喚したワンダーマンは、フィジカルと言う点において、非常に鈍重(どんじゅう)かつ愚鈍(ぐどん)だった。

 その様を見て、カバノンは、またドン引きする。

(……ひ、酷いな……明らかに『強めのデバフ』が入っている……『召喚しやすい星霊種』を、そこまで劣化した状態で召喚するとは……)

 召喚獣の能力は、召喚した者の力量によって大きく変動する。
 優秀な召喚士に召喚されたモンスターなら、本来の能力の2倍や3倍の能力を発揮することも珍しくない。
 が、それは逆もしかりで、無能が召喚すると、本来の能力の半減状態で召喚されてしまうということもままある。

 ――ワンダーマン(弱)は、自前の剣をふりかぶり、ヘルズ覇鬼の体を一刀両断しようと斬りかかった。

 その動きを、静観しているヘルズ覇鬼。
 避けることも受け止めることもしない。
 ただ、黙って、ワンダーマンの剣を、その身で受け止めたヘルズ覇鬼。

 ギンッ!

 と、まるで、鋼鉄にはじかれたみたいに、
 ワンダーマンの剣が吹っ飛ぶ。

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