センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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9話 Nジェイル。


 9話 Nジェイル。

「なんでかはサッパリ分からんけど、Nジェイルは、ザンクさんの強い味方らしい。ありがたい話やで。おかげで、死なずにすんだ。いや、まあ、一回は死んでんねんけど、なかったことに出来たから、死なずにすんだと表現して、何の問題もないやろ」

 一度死んでも、ザンクはおしゃべりなままだった。

「ただ、なんで、Nジェイルって名前なんやろうなぁ……Tジェイルやったら、わかんねんけど……もしくは、Zジェイルか、Iジェイルなら、まだ理解できるんやけど……んー、Zを転がしてNにしたとか? そんなわけないか……いや、現状、わけわからんすぎて、そんなわけないとも言い切れんなぁ……」

 などと、ザンクが首をかしげていると、
 モナルッポが、渋い顔で、ザンクの顔を見ながら、

「Nジェイル……死をトリガーにして他者を奴隷化できる力……そ、そんな、むちゃくちゃな力……」

 ちなみに言っておくと、モナルッポは、『ザンクが死んだことで、自分がザンクの奴隷になった』という現状を理解しているだけで、
 『Nジェイルの性質を完全に理解している』というワケではない。

 だから、

「……だが、その力があれば、バーチャを支配することも……」

 そんな誤解もしてしまう。
 その誤解に対して、
 モナルッポよりはまだNジェイルを理解しているザンクが、

「残念やけど、モナさんよぉ。この力は、召喚主に対してだけやで。だから、ザンクさんを殺してくれた『さっきの兄さん』やなく、あんたがザンクさんの奴隷になった」

「……お、俺だけ? 俺だけにしか使えないのか? く、クソの役にもたたん……」

「まあ、あんたの視点やと、確かに、足枷でしかないな」

 と、軽い感想を口にしてから、
 ザンクは、扉に視線を向けて、

「しかし、あのクソ野郎、ザンクさんの健気な命乞いを一切シカトして、普通に殺しやがった……許せんな。あいつは、絶対に、殺したる。撃ってええのは撃たれる覚悟があるやつだけやと言うことを、その身に叩き込んだるわ」

 ザンクは聖人君子ではない。
 理不尽に命を奪われておいて、
 笑って済ませられるような人間ではない。

 すべての人間にとって、『もっとも大事な人』は、結局のところ『自分』である。
 そんな『もっとも大事な人』を奪われた怒りははかりしれない。

「まあ、それはともかく、ザンクさんは、もう二度と死にたくないから、あんたをトコトン利用させてもらう。ちなみに言うとくけど、ザンクさんが死んだら、あんたも死ぬから、その辺、よろしく」

「……ぐっ!」

 これに関してはザンクに言われる前から理解できていた。

(とんでもなく重たい足枷……こいつのような、なんの力もないザコは、放っておけばすぐに死ぬ……なのに、こいつが死んだら俺も死ぬとか……ぐぅ……お、重たすぎる足枷……)

 モナルッポは、酷すぎる現状に頭をかかえる。

(俺は、死んでいる場合じゃないんだよ。やるべきことは腐るほどあるんだ……)

 この最悪の状況をどうにか対処しようと、
 モナルッポは、頭をまわした。

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