センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

90話 王としての資質。


 90話 王としての資質。

(強力な装備品を生成した方が得か……それとも、最大値を求めて、強力な召喚獣を呼ぶか……)

 無限に沸き上がってくる『メリットとデメリット』を精査した上で、

「――ランダム召喚……が最適解か?」

 モナルッポは、最終的に、一つの結論を出した。

(もし、『単騎で、バーチャを抑えることができるぐらいの化け物』を召喚できれば……)

 それだけの化け物を召喚できる可能性は、正直言って低い。
 しかし、やるだけの価値はある。
 やらざるをえないぐらい追い詰められている、と言ってもいい。

「よし……やるか」

 決断すると、まずは、
 これまでにため込んできた『魔カード強化用』のアイテムをフル投入して、
 ランク25の魔カードを、全力で磨き上げていく。
 決してミスらないよう、丁寧に、慎重に、

「俺の魔力も、大量にぶち込んで……」

 できれば、数年や数十年という単位で、魔力を注ぎ込んで強化したいところだが、
 現状を考えると、悠長なことはしていられない。

「よし……できた……完成したぞ……ランク28の魔カード。いや、しかし……すごいな……むちゃくちゃだ……これ一枚で、国が余裕で買える……」

 この破格の魔カードを使ってしまうことに対して、
 一瞬、『もったいなさ』を感じた。

 今後、これほどの至宝を手にする機会があるだろうか、と考えてしまう。
 モナルッポも、王族の一人。
 だから、『至宝』の『正確な価値』が理解できる。
 単純な欲望を度外視しても、『真摯なもったいなさ』が沸き上がる。
 これほどの国宝を保有しているというだけでも、国の品格は上がる。
 ――そんな、諸々のステータス関係を、一瞬のうちに、色々と考えてしまった。
 しかし、

「鉄火場で必要なのは、コレクションではなく兵器だ」

 と、すぐさま『当たり前の視点』でモノを考えていくモナルッポ。
 『王としての価値観』ではなく、『人として当たり前の価値観・倫理観』で世界を見通す。
 これが出来ない王族は多い。
 彼の兄妹であるレバーデインやラフィでは、これだけの即断即決は不可能。
 この点だけで見ても、モナルッポの王としての資質の高さがうかがえる。

 ドーキガン・ザナルキアが、王の役目を、モナルッポに任せようとしたのは、責任放棄などではなく、モナルッポの『王としての資質』を正確に見抜いたから。
 殴り合いなら間違いなくドーキガン・ザナルキアの方が上だが、王としての資質は、ドーキガン・ザナルキアよりも、モナルッポ・スピアーズ・ミルトリスの方が、確かに上なのである。

「――さぁ、きてくれ」

 もう、モナルッポは迷わない。


「――頼むから……人類の希望となる化け物……頼む……頼む!」


 願いを込めて、
 モナルッポは、人類史上最高のランダム召喚に挑む。

 ランクだけで言えば『これ以上の召喚』は、歴史上、ありえなかっただろう。
 この破格の召喚で、いったい、何が出てくるのか。
 期待と不安の中で、モナルッポは、結果を待った。

 ――願いの中、歪なジオメトリが、空間に描かれる。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品