センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
87話 センエースとボーレの親和性。
87話 センエースとボーレの親和性。
(――『もしかしたら、聖主が存在するかもしれない』という現状がある以上、その可能性を除外して作戦をたてることはできない……むしろ、明確に『存在する』と断定してくれた方が、迷わずに済む分、楽ですらある……この先、ずっと、見えない影におびえ続けながら戦争を続けることは、精神衛生上、大きな問題がある……)
などと、モナルッポが、そんなことを考えていると、
「ほな、ワシは、もう行くから。このあとも、色々仕事があるからな。――あ、そうそう。バーチャ様から聞けと言われとったんやけど、お前は、これからどうするつもりなんや? 『軍に入るんやったら、幹部候補として迎え入れる』とバーチャ様は言うとったけど」
「……色々と考えてみます。ひとまずは、冒険者として、仕事をしつつ、ここでの生活に慣れていこうかと思っています」
「あ、そ。じゃあ、そう伝えとくわ」
★
モナルッポに背を向けて、医務室を出ると、
彼――『T・104』は、
瞬間移動で、王城の執務室に戻り、
(……サイコジョーカーへの耐性が、想定以上に上がっとる……どうやら、『平熱マン(ドーキガン・ザナルキア)』との接触によって、メンタル部分に覚醒が起きた模様……モナルッポには、あまり期待はしとらんかったけど、もしかしたら、そこそこ使えるタマになりそう……ふむ……それを踏まえた上で、さてさて……ここからどうするかな……)
モナルッポとは比較にならない豪速で頭を回転させながら、
Tは、右腕をスっと薙いで、目の前に、エアウインドウを出現させる。
――ソコに映っているのは、今も必死に、南大陸でアレコレしているセンエース。
彼は、今、ゾメガが支配しているオルゴレアム帝国で正式な住民となり、
特別待遇性として、魔法学校に通っている。
そこで、『ボーレ』という名前のクラスメイトに導かれ、
魔法学校の体育館裏にある『秘密の部屋』を見つけ出していた。
(――センの方も順調……今回の『秘密の部屋』の『深層』で発見できるアイテムは『銀の鍵』……)
『秘密の部屋』の発見により解放された銀の鍵。
タイムリープが可能となるその超級アイテムを、いかにうまく使えるか。
――それが、この『T主催デスゲーム』の勝利の鍵。
ちなみに、まだ、センは、『銀の鍵』を入手したわけではない。
あくまでも、『秘密の部屋』を見つけただけ。
秘密の部屋の『深層』に辿り着かなければ、『銀の鍵』を入手することは不可能。
――そして、『秘密の部屋』の『深層』に辿り着くためには、いくつかの難題をクリアする必要がある。
年に一回霊山で行われる『サバイバル』で優勝することだったり、
『龍試』と呼ばれる『異常に難易度の高いテストに』合格することだったり。
(言うとくけど、負けてやる気はさらさらないで。ワシにすら勝てんやつが、この先の絶望を超えられるとは思えんからな。ワシを超えられんようなら、お前は、ここで終わりや)
心の中でそう呟いた直後、
天を仰いで、ボソっと、
「頼むから、勝ってくれよ……」
センに復讐したいと願いながらも、
センの勝利を願う生粋のアンビバレント。
T・104は、一度タメ息をついて、その場から瞬間移動した。
★
――自己治癒能力の強化と、回復魔法の併用で、
肉体の損傷を、ほぼ元通りにまで戻したモナルッポは、
医務室を後にして、与えられた聖龍王国内の自宅へと戻った。
そこでは、キッツが待機しており、
「おつかれさまでした、モナ様」
いちど、モナルッポをねぎらってから、
『モナルッポが闘っている間に収集した情報』を伝えていく。
「なるほど。聖主に関しては、やはり、何も分からないままか……」
「本当に存在するのか怪しいレベルです」
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