センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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85話 素で『ランク25の魔カード』という異質。


 85話 素で『ランク25の魔カード』という異質。

(限界まで強くなって……その上で、ドーキガン&ゾメガと力を合わせれば……どうにか、バーチャを倒すことも不可能ではない……)

 バーチャは、とんでもない化け物。人類の英雄総出でなければ勝てない。
 ――だが、集まれば超えられる。決して超えられない壁ではない。

(今のままでは、正直、話にならない。それは認める。俺も、ドーキガンに並ぶ力がいる……険しい道のりだが……しかし、諦めるわけにはいかないイバラの道だ)

 グっと奥歯をかみしめる。
 そして、

(仮にバーチャを倒せたとしても、その後ろには、聖主とやらが控えている……あのバーチャを力で支配しているとしたら、その強大さは計り知れない……バーチャを倒すだけではなく、もっと、先を見据えたプランが必要……キツいな……理想的には、俺一人で、バーチャを倒せるように磨き上げて、聖主は、ドーキガンとゾメガに任せたいところ……ただ、そうなってくると、誰がエルメスの相手をするのか……層の厚さ、その違いが、如実に表れている……エルメスクラスになってくると、雑兵数万が束になっても意味はない……)

 悩んでいると、
 そこで、医務室に誰かが入ってきた。
 目線を向けてみると、『ひょろい魔人』だった。
 理知的な顔立ちはしているが、それ以外の印象は特にない。

 『彼』は、モナルッポの横に立つと、

「どーも」

 軽い挨拶をしてから、

「ワシは、今大会の運営委員の一人。見事、準優勝を果たしたお前に、賞品を授与しにきた。ありがたく受け取るように」

 そう言いながら、一枚の魔カードを、モナルッポにさしだしてくる。

「そりゃ、わざわざ、どうも」

 そう言いながら魔カードを受け取るモナルッポ。
 その魔カードを見て、モナルッポは、思わず目を見開く。

(……ら、ランク25の魔カード? 素でランク25? し、信じられん……)

「そいつは、かなりのレアものやで。今のところ、聖龍王国にも一枚しかない。大事に使ってや」

「……二位でこれだとすると……優勝したバーチャ様は、何をもらえるんでしょうか?」

 ふと疑問に思って聞いてみると、

「優勝はバーチャ様に決まっとるから、賞品なんかないよ。聖龍王軍総司令官であるバーチャ様に勝てるワケないからな。実質、準優勝が優勝って感じや」

「……なるほど……まあ、確かに」

「あ、ちなみに、その魔カードは、白紙の状態やから、好きな魔法を込めればええ。どんな魔法でも、ランク25にできるという、夢のワイルドカード。有意義に使ってや」

「白紙状態はありがたいですね」

 そう言いながら、モナルッポは、上半身を起こして、
 彼の目を見ながら、

「一つ聞きたいんですが、あなたは聖主様に会ったことがありますか?」

「いや、会ったことはないなぁ。だから、正直、どんな人か、よぉわからんねん」

「……この町に来てから、いろいろと話を聞きましたが、みんな、そう言いますね」

「表に出てこん人やからなぁ。ほんまにおるんかどうかも怪しいところやで」

 そこで、彼は、モナルッポの耳元に、ソっと口を寄せて、

「あんま、おおっぴらには言えんけど、ほんまは、聖主なんて、おらんのとちゃうかなぁ、とワシなんかは思うとる」


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