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 79話 人類の『不条理なまでの多様性』という愚かさが、本当の団結という倫理的完成を決して許さない。


 79話 人類の『不条理なまでの多様性』という愚かさが、本当の団結という倫理的完成を決して許さない。

 『神器で身を固めた今のショデヒ』がその気になれば、素のモナルッポを相手にしても、一矢報いることが出来るだけの力がある。
 四魔将と五華族が、『何でもありの死闘』をした場合、生き残る確率が最も高いのはショデヒ。

 彼の強さは本物。
 それを理解したモナルッポは、

(ショデヒの狡猾さから鑑みるに、おそらく、『指揮官としての技能』も、目を見張るものがあるだろう。将軍としてのスペックは、こいつが一番高いとみて間違いない……)

 命の鉄火場においては、『どれだけ、倫理観を捨てられるか』にすべてがかかってくる場合が多々ある。
 一概に、『邪悪であれば強い』と言い捨てる気はないが、
 しかし、甘さを完全に捨て去った将の強さは、やはり、重たい事実。

「……ちっ」

 タイムアップを迎えた時、
 ショデヒは、素の舌打ちをした。

 しかし、すぐに、いつもの腹黒で狡猾な表情に戻して、

「ルールに助けられましたね。もし、ノールールであれば、あなたは、とっくの昔に死んでいましたよ。その事実を、けっして忘れないように」

 そう言い捨てて、武舞台を降りていくショデヒ。
 『負けず嫌い』の『程度』は、ガイリューと大差ない。
 そうでなければ、将軍は務まらない。

 そんな彼の背中を見送ってから、
 モナルッポは、天を仰いで、長い息を吐く。

「……ふぅ……」

 それなりの深呼吸をはさんでから、
 モナルッポは、心の中で、

(ノールールの戦場で、ショデヒを完璧に対処できる者が、人類側にいるだろうか……いや、いないな。……俺達『三柱(ゾメガ・ドーキガン・モナルッポ)』でも、最低限以上の損失を覚悟する必要があるだろう)

 『搦(から)め手使い』が相手の場合、純粋なアタッカーを想定するよりも、『一段階上の損害』を予想する必要がある。

(聖龍王国の戦力は、俺の予想を遥かに超えていた……ハッキリいって、かなりまずい状況だ……噂のバーチャや、聖主とやらがいなくとも、聖龍王国は、相当に強い……こいつらが、本気で、人類と敵対した場合……勝敗は分からないが、双方ともに、甚大な被害が出ることは間違いない……)

 そこで、モナルッポは、タメ息を一つはさんで、

(人類が、本当の意味で団結できれば、聖龍王国を、問題なく撃退できるだろうが……しかし、それは、難しいだろうな……人類の『不条理なまでの多様性』という愚かさが、本当の団結という倫理的完成を決して許さない……)

 モナルッポは、ロマンチストではない。
 『理想的な未来』を追い求めてはいるが、
 それを成すためには『徹底的なリアリスト』である必要があると理解している。

(……いざとなったら、ショデヒから買い取った魔カードで、革命を起こす必要があるかもしれない……愚かしさを演じながら、合理的に、裏を詰めていって、各国を制圧していき、強制的に団結させる……かなり危うい手段だが、ドーキガンとゾメガの助けがあれば、出来なくもない……セアとセファイルとトーンは、どうにかなるだろうが、カルとフーマーが問題だな……)


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