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73話 御前試合の予選など楽勝。


 73話 御前試合の予選など楽勝。

 御前試合の予選に参戦したモナルッポ。
 それなりの強者がそろっていたが、存在値世界3位のモナルッポが相手では、さすがにどうしようもない。
 モナルッポは、怪しまれないよう、丁寧に、力を加減しながら、
 幹部以下の連中をボコボコにしていく。

 今回、本選の配下枠は一人のみということで、
 モナルッポだけが参戦。
 キッツは、下手に動いて怪しまれることを警戒し、
 モナルッポが闘っている間は、役所や図書館で、表層の情報収集に努めている。


「予選の勝者は、新参者のポール! お見事!!」


 ポールという偽名で参戦したモナルッポは、
 サクっと予選を通り、本選のトーナメント表に名前を刻んだ。

(……配下連中も、のきなみ、予想の上をいっていたな。想像していたよりも、平均で存在値100ぐらい強い印象……)

 何より驚いたのは、全員、装備品が、なかなかのものだったということ。

(力を入れているのは魔カード産業だけではなく、装備品も、か……素晴らしいな。この国の底力は、なにもかもすべて、俺の予想を遥かに超えていた)

 モナルッポは現実を受け止める。
 聖龍王国は、彼の常識ではかれる国ではなかった。
 しかし、だからといって、膝を屈することはありえない。
 むしろ、敵が強いと分かった分だけ、心の方は熱く燃えたぎっている。

(聖龍王国は、想定をはるかに超える力を持っていた。しかし、新たな王と、側近バーチャと、魔カード、そして、正確な文明レベル……この全ての正確な情報を持ち帰ることが出来れば、対策はいくらでもたてられる……)

 そんなことを考えながら、
 控室で、自分の出番を待っていると、

「お前が新参者のポールか?」

 『でかい体の竜人』が声をかけてきた。

「俺はガイリューだ。お前の初戦相手となる」

 そう言いながら、ガイリューは、モナルッポの隣に腰かけて、

「今回の予選では、俺の自慢の配下たちも参戦していたんだが……その全てをなぎ倒してくれたそうだな」

「偶然です。クジ運が、すこぶる良かっただけなので、偶然というよりも、奇跡と言った方がいいかもしれませんが」

「謙虚だな。不愉快だ」

 ガイリューは、そう言いながら、モナルッポをにらみつけて、

「強者は胸を張って、自分の強さを誇らなければいけない。そうでなければ、貴様に負けた者が浮かばれない」

「……強者の哲学ですか。なるほど。勉強になります」

「その態度も不快だな。ポール。この大会が終わったあとは、俺の配下となれ。お前は精神面を鍛える必要があると見た」

「……考えておきます」


 ★


 武舞台に立ったガイリューは、とんでもない装備品に身を包んでいた。

(……なっ……はぁ?)

 事前の調べによると、ガイリューの存在値は300~400程度だという話だった。
 しかし、今、目の前にいるガイリューは、

(存在値700前後……な、なんで、こんな……)

 ガイリュー自体の存在値は400前後だが、
 装飾品も含めた存在値で言うと、700前後。

(こいつは……話に聞くところ、幹部の一人にすぎない……なのに、なぜ、こんな至宝とも呼べる装備品に身を包んでいる……どうなっている?)

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