センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

26話 私の存在値は53万です。


 26話 私の存在値は53万です。

 自分のことを『圧倒的強者である』と信じて疑わない親衛隊ドラゴンは、愚かな侵入者を完璧に氷漬けにしようとブレスを放った――が、その愚かな侵入者は、すずしげな貌(かお)で、にたにたと笑っているばかり。

 ――その侵入者は、

「まあ、存在値400のブレスやと、こんなもんやろうな」

 鼻で笑ってから、


「ちなみに言うとくと、ワシの基礎存在値は53万や。おどれんとこの大将である聖龍王の、ザっと750倍ぐらい強いんが、このワシ――『T・104』や。よろしくのう」


「な……なにを、愚かしいことを――」

 『氷に対する強い耐性を持っているのだろう』と判断したドラゴンは、
 物理攻撃で攻めようと、両腕にオーラを込めた。

 龍は、繁殖能力以外の『全て』において完璧な種族。
 パワー、スピード、魔力、タフネス、知性、すべてにおいて最高クラス。

 さらには、自身の力に酔うだけではなく。
 『アイテムを有効活用する能力』も高スペック。

「――私は、自身に付与された魔カードの効果を高めるというスペシャルを保有している」

 と、暴露のアリア・ギアスを積みつつ、
 アイテムボックスから取り出した魔カードを破りながら、

「拳気ランク12」

 宣言することで、龍の拳に、膨大な魔力とオーラが込められる。

 徹底的に拳を高めてから、
 龍は天高く飛翔した。
 そして、突撃。

 この飛翔からの突撃も、『アホの突貫』ではなく、計算された破格の一撃。

 そんな龍の『とびっきりの一撃』を、Tは、ソっと、片手で受け止める。


「――っっっ???!!!!」


 それは、もはや、蚊を受け止めるぐらいのユルさだった。
 龍の突撃に対して、Tは、何も感じていない。

「感謝せぇよ。そっちの体が壊れんように、衝撃を吸収した上で、受け止めたったんやから」

 呑気な口調で、そんなことを言うTに、
 龍は、

「……っ……っ……ぁ……っ」

 呆然とすることしか出来なかった。
 龍は知性が高い。
 だから、理解できてしまった。
 ブレスも物理もきかない相手。
 自分の全力を鼻歌交じりの片手で受け止めきれる異常者。

 目の前にいる存在が、自分を遥かに超越した化け物である、
 と、その高い知性が、答えを導き出した。


「――ひぃっ!」


 理解が届くと同時、龍は、反射的に悲鳴をあげた。
 心が叫びたがっていた。

「ば、ばかな……勇者ですら、そんなマネは……」

 賢いからこそ、色々な思考が頭の中をめぐる。
 人間の中で最強の存在は、勇者ドーキガン・ザナルキア。
 彼の存在値は異常な領域にあり、その気になれば、聖龍王親衛隊を皆殺しにすることも不可能ではないだろう。

 だが、そんなドーキガン・ザナルキアでも、
 龍の突撃を、片手で受け止めるということは、さすがに厳しい。
 オーラと魔力をひねりあげて、それなりの全力を出せば、ピクリとも動かず、龍の一撃を受け止めるということも可能だが、しかし、さすがに、こんな、まったくの素の状態で、龍の一撃を、蚊のように受け止めるのは不可能。


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