センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

55話 最低でも、血ヘドが枯れるまで努力しろ。


 55話 最低でも、血ヘドが枯れるまで努力しろ。

 センは、まるで、部下の有休を絶対に認めないパワハラ上司のように、

「死んでも頑張れ。まだまだ、俺の相手をしろ。完全に死ぬのは、俺の可能性が開いてからにしろ」

 そう言いながら、
 センは、悪夢バグとの距離を詰めて、
 悪夢バグの顔面に拳を叩き込んだ。

「ごふっ!!」

 まるで薄氷でも踏み抜いたみたいに、
 悪夢バグの顔面がバリンと割れる。

「なんだ、その脆さ。ふざけるな。もっと気合いを入れろ」

「も、もう……本当に……限界……」

「だめだ。最低でも、あと1000万回以上は復活してもらう」

「……ムリだ……ストックだけではなく……心も……すでに……」

「泣き言をほざくなよ、みっともねぇ。無限蘇生するって言ったのはテメェだろ」

「君の心を折るためのウソだ……無限蘇生は……そう簡単に複製できない……劣化版しか……」

「なら、嘘を現実にかえろ。限界を超えて、幻想をたぐりよせろ。大丈夫、死ぬほど頑張れば、できる、できる。なんせ、俺ていどにも出来たことだからな。その気になれば、全員できるはずだ。というわけで、さあ、頑張れ。まずは、血ヘドが枯れるまで努力しろ――それが最初の一歩だ」

「……」

 ドン引きの顔で、センを見る悪夢バグ。
 目の前にいる化け物に、心が、本気の畏れをなしている。

 完全にビビってしまっている悪夢バグの心をシカトして、
 センは、たんたんと、

「お前のあとも『面倒』はやってくるんだろう? だったら、今のうちに訓練をしておかないとな。やれることは全部やる。お茶目に後悔しているヒマはないから。――というわけで、さあ、立て。まだまだ付き合ってもらうぞ。俺達の闘いはこれからだ」

「……もう……無理……貴様の相手は……やってられない……」

 そこで、悪夢バグの体が、
 ホロホロと、崩れていく。

 心と魂が完全に砕けてしまったのが見てとれた。
 『形状を維持することすら出来ないほどの絶望』に包まれてしまった証拠。

 まるで、この世から逃げ出すように、
 悪夢バグは、『自身の崩壊』を加速させる。

「おい、ふざけんな。消えるんじゃねぇ。待て」

 必死に引き留めようとするが、
 しかし、もう悪夢バグは、とまらない。
 一目散に、この世から逃げ出した。

 副官も、他の虫けらも、完全に崩壊して、世界に溶けていく。


 ほんの数秒で、10000体のバグたちは、完全に消失してしまった。
 それを見送ったセンは、

「ちっ……豆腐メンタルのカスどもが……」

 と、文句を一つ口にしてから、
 300人の魂に視線を向けて、

「……あれ、どうするかな……」

 と、思っていると、
 そこで、ナイトメアソウルゲートの声が響き渡る。

『バグの処理、見事だ。ご苦労さん。ゆっくりと休むがいい。300の魂は、私の方で処理しておこう』

「……その『処理』ってのは、『消す』って意味じゃないだろうな?」

『排除の意味だと、何か困るのか?』

「……」

『冗談だ。バグを処理してくれた礼として、あの魂は、蘇生させた状態で、元の世界に戻しておく』

「そいつらを生き返らせるのは、礼になってねぇ。礼なら、施設を解放する的なことで返してくれ」


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品