センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

45話 10000の虫。


 45話 10000の虫。

 副官のオーダーを受けた『おびただしい数のジオメトリ』から、

「ギギ……」

 『薄羽の生えたトラックサイズのでかいサソリ』みたいな虫が、
 どんどん、どんどん、召喚されていく。

 一体、一体が、とんでもない圧力を放っている。
 数の暴力×数の暴力。

 その膨大さを前にしたセンは、

「……気持ち悪ぃなぁ」

 と、素直な感想を口にした。
 しかし、悲観はしていない。

(予告されていた通り、全部で10000体ってところか。確かに、とんでもない圧力だが……この程度なら、『どうしようもない』とは思わない……かなり、ダルい作業なのは間違いないが、結局のところはそれだけの話)

 センは、本当に強くなった。
 だから、この絶望を前にしても、臆さずに、どうどうと前を向くことができる。

 全員集合したところで、
 悪夢バグが、センに対して、ギラリと光る強い目線を送り、

「さあ、センエース。すべての私たちを殺せるか?」

「殺せるさ。そのために100億年を積んできたんだから」

 激闘が始まった。
 数がハンパではないので、
 さすがのセンも本気を出さざるを得ない。

 ただ、本気を出せば、
 『相手の攻撃』を全て回避して、
 『純度の高いオーラを込めた拳』で、
 虫の外殻を優雅に叩き割ることも可能。

「戦闘力が高いのは、人型の2体だけで、他の虫ケラは、ただのでかい的だな」

 『悪夢バグ』と『副官』は、それなりに戦闘力が高く、
 雑な対応では処理しきれないが、
 『でかい虫』どもは、数が多いだけで、
 そこまで大きな脅威だとは感じなかった。

 もちろん、存在値がとんでもなく高いので、セン以外の人間では、何十億人で束になってかかっても、『1匹に1ダメージを与えること』すらかなわないだろう。


「――神速閃拳――」


 爆速のジャブを山ほど連打。
 一発一発に、凶悪なオーラを込めて放つ、崩し技のグリムアーツ。
 センエースの圧倒的な積み重ねによって昇華された拳が、
 虫ケラどもの全身を、秒でバラバラにしていく。


「まだ、戦闘開始から、ほんの数分だが、すでに、100匹以上は死んだなぁ。この程度なら、10時間もあれば余裕で殺しきれるかな」


 強すぎるセンの暴走を受けて、
 悪夢バグは、

「センエース! ストップだ!」

「ん?」

 目線を向けてみると、
 悪夢バグが、300人の魂に、両手を向けていて、

「一歩でも動いたら、異次元砲をぶっ放す。やめてほしかったら、今から10秒、停止してくれ。10秒止まってくれたら――」

 と、そう言って脅そうとするのだが、
 センは、

「はんっ」

 と、一度、鼻で笑っただけで、
 1秒たりとも停止することなく、
 ひたすらに、バグを殺し続ける作業を続ける。

「ちょ、ちょっと! センエースさん?!」

「殺したかったら好きにすればいいだろ。関係ない人間が何人死のうと知ったことか」

 そう言い捨てて、
 センは、さらに、虫ケラどもを叩き潰していく。

 その様子を見た悪夢バグは、

「……魂の状態では、イメージがわかないか……だったら」

 そこで、盛大に魔力を練り上げて、
 サーシャ・ラインの魂に注いでいく。


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