センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
10話 自由気ままに、施設の解放条件を満たそうとするセン。
10話 自由気ままに、施設の解放条件を満たそうとするセン。
「カティ姉さんなら、余裕だよ。カティ姉さんは格が違うんだ。あ、ちなみに、俺も、サポート要員として、そこそこ腕がたつ。俺たちは、チーム。そこんところを忘れないでくれよ、ギルド長さんよぉ」
「おこぼれにあずかろうと必死か。暗部のエリートとは思えないほど、無様な姿だな。闇として闇を狩る君たちは、もっと気高いものと思っていたが」
心底から見下した目でセンを見るギルド長。
その目に慣れ親しんでいるセンは、特に不快に思う事もなく、
ニパっと、快活な笑顔を浮かべて、
「俺は、暗部の中でも『最強の落ちこぼれ』なんでね。聞いたことない? センエース・カルマの話。裏では、だいぶ有名人だぜ。『どうしようもない雑魚』として」
「……雑魚の情報など記憶には残らない」
その言葉を受けたセンは、しんなりと肩をすくめて、
「おっと、そいつは残念。……いや、俺からすれば、ありがたい話なのかなぁ。世間様に広まっている恥は少ない方がいい」
などと、ファントムなトークで、和やかな会話を終わらせた。
★
――ここは、シューリの御用邸。
『東の森』に『狩り』へと向かう前に、
『センとカティの二人』は、一旦、ここへ立ち寄った。
「カティお姉たま、とりあえず、邪魔だから、ここで待機していてくれる?」
「は? 一緒に行くんじゃないの?」
「俺一人の方が、色々と動きやすいんで。そもそも、俺は、孤高。理由がなければ、チームとか組まない。というわけで、お留守番、よろしくでーす、ちーっす」
そう言い残して、
センは、そのまま、さっそうと出ていってしまった。
残されたカティに、
アダムが、
「主上様の親戚だな」
そう声をかけた。
「え、いや……親戚……いや、まあ……」
ファミリーに属している者は全員、『血の掟』で結ばれているため、親戚といっても問題は何もない。
センとカティに血縁関係はないし、
もう、ファミリーとは縁を切っているので、
『掟系の関係性』は完全に断たれているわけだが、
しかし、二人が、元ファミリーだったことは消せない事実。
「話は聞いている。こっちにこい」
上から目線でそう言われて、
カティは、普通にムっとした。
「あなた、誰? 王族? 見た事ない顔だけど」
アダムの絢爛さから、『高貴な血統だろう』と推測したカティ。
そんな彼女に、アダムは、胸を張って、
「私は、この上なく尊き命の王である主上様の側仕えだ」
「……その主上様って、もしかして、センのこと?」
「ほかに誰がいる?」
「……」
「一つ聞きたいんだけど……センの、あの異常な力はなに? 具体的には分からないけど……本能が警告してくるレベルの、あのとんでもない威圧感は……」
「……何も聞いていないのか?」
「変な冗談で、はぐらかされるのよ。10億年がどうとか、500兆がどうとか、頭の悪い話でごまかすばかりで、本当のことは、なにも教えてくれなかった」
「……」
「たぶん、もう、全部、聞いているっぽいでちゅね」
奥から出てきたシューリが、アクビまじりにそう言った。
「……シューリ……殿下……」
「センのイカれ方を、口で言ったって分からないと思いまちゅから、一週間後、一緒に、観察しまちょう。そうすれば、一発でわかりまちゅよ。あんたの親戚がどういう男か」
「……」
★
瞬間移動で『東の森』まで、ひとっ飛びしたセンは、
索敵系の魔法を使って、森全体をサーチし、
『野盗どもが、どこに隠れているか』を、
秒で調べ上げると、
「一番強いのが……存在値362。おいおい、バースディ・カルマより強いじゃねぇか。そんだけ強いのに、なんで、盗賊なんかになるかね」
『たぶん、生まれつき、そういう生き方しか出来ないのだろう』、
――と、勝手に推測して、
「……362は最後にとっておくとして……まずは、一番近くにいる盗賊団から片付けていこうか……えっと……存在値200がアタマ張っている盗賊団が右、存在値190がアタマはっている盗賊団が左……ど・ち・ら・か・ら・に・し・よ・う・か・な、か・み・さ・ま・の・い・う・と・お・り…………神様は右とおっしゃっている……じゃあ、左にいこうか」
などと、つぶやいてから、
センは、ターゲットの元へと駆け抜けた。
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