センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
8話 センさんはひるまない。
8話 センさんはひるまない。
「腰ぎんちゃくの分際で、偉そうにするんじゃないよ! 私は、そういう、ふざけたガキが一番嫌いなんだ! 命がけの仕事である冒険者をナメるな!」
なかなかの迫力で、そう叫んだ受付嬢に対し、
センは、わずかも表情を変えず、
「怒鳴っているヒマがあるなら、さっさと仕事を紹介してくれる? 冒険者をサポートするのがあんたの仕事じゃないの? 俺のことをバカにするのは自由だけど、だから職務放棄していいってわけじゃねぇよな? 現状、『仕事』をナメているのは、『俺』と『あんた』、どっちだ?」
「……ぅっ」
「あんたの言う通り、俺はカティ姉さんの腰ぎんちゃくだ。その認識で何も間違いはない。俺は、あくまでも姉さんのサポート役。俺たちのチームの主役はカティ姉さん。主力として活躍し、大きな栄誉を得るのは姉さんの役目。俺は、それを、ちょっとだけ支える『下っ端A』に過ぎない。……で、それの何が問題だ? そういう構成のチームは俺達ガットネロだけか? 違うよな? むしろ、『チームメンバー全員が均衡している』ってパターンの方が珍しいと思うんだが? そういう常識的前提を全部踏まえた上でモノを見た場合、今、俺が理不尽に怒鳴られる理由が、マジで一つも見当たらないんだが?」
「……」
受付嬢が口ごもったところで、
背後から、先輩冒険者らしき屈強な大男が、
「おい、ごら、そこのクソガキ……エリエールにナメた口きいてんじゃねぇぞ」
彼は、受付嬢エリエールに恋をしている『5つ星』の冒険者。
エリエールは、美人さんかつ有能かつ情報通の才女なので、冒険者に愛されている。
「ここはガキの遊び場じゃねぇんだ。大人の邪魔をしようってんなら、承知しねぇ――」
「うるせぇ、ボケぇええ! 『新人に絡む先輩冒険者』とか、そんな『ありえない量の手垢』で『漆塗りばりに真っ黒になったイベント』を、ちまちまこなしているヒマねぇんだよぉお! こちとら、一週間後に、『500兆×10000』の地獄と、感動のご対面なんだぞ! 50年も生きてねぇようなガキはすっこんでろぉおおお!!」
「……ぃ、いや、お前の方がよっぽどガキ……」
「カティ姉さん、ちょっとこのバカに、わからせてあげてくれ。つつましく派手にね」
「……なに、その難しい注文」
と、一言、文句を口にしたものの、
カティは、タメ息を一つついてから、
「凶指(きょうし)ランク11」
魔法を込めた人差し指で、先輩冒険者の腕をつく。
すると、
「うぐぅうう……げっはぁあああああああっ!!」
噴水のように、血を吐き出して、その場に倒れこむ先輩冒険者。
その様を見たセンは、
「……派手すぎん? 『つつましく』のオーダーも遵守してほしかったな。てか、これ、死んでない?」
「致死量ギリギリ。死にはしない。というか、気絶すらしていないはず」
カティの発言どおり、
先輩冒険者は、
「く、うぇ……ぐ……こ、このガキ……」
貧血と脱水でフラついているものの、
まだ、しぶとく抵抗しようとしている。
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