センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
1話 巨大暗部組織フェイトファミリーの事情。
1話 巨大暗部組織フェイトファミリーの事情。
――人気(ひとけ)のない路地裏で、センは、ゴミ箱に腰かけて、
『彼女』が来るのを待っていた。
5分ほど待ったところで、
「うっす、カティ姉。ひさしぶり」
センは、彼女に、そう声をかけた。
すると、彼女――カティは、
「ひさしぶり? 一週間前に会ったばかりだけど? というか、タメ口をきくな、クソガキ。あんたの家の方が序列は上だけど、私の方が年上なんだから敬語を使え、バカ。私は、カスにナメられるのが一番嫌いなんだ」
『レミングウェイ・カティ・デステニィ』。
センよりも7つ年上の10歳。
アダムやシューリとは方向性の違う『プライドの高さ』が特徴的な、ボーイッシュ&ゴシックを基調としたスタイルの暗部系美少女。
デステニィ家も、カルマ家も、
『フェイトファミリー』という巨大暗部組織に所属している。
一応、序列で言えば、カルマ家の方が上だが、ほぼトントン。
「セン……あんた家出したって聞いたけど? こんなところをウロウロしていた大丈夫なの? 家の人間に殺されるんじゃない?」
ファミリーの情報は、基本的に共有される。
ただ、『どういう伝わり方をするか』は、それぞれが飼っている諜報部の腕次第。
「この俺が、あんなカス共に殺されるワケないじゃないすか、姉さん。バースディ・カルマが、存在値変わらない状態で100億人ぐらいに分裂して、束になってかかってきても秒で皆殺しっすよ、うっへっへ」
「頭、大丈夫?」
フェイトファミリーの中だと『弱者は死ぬしかない』というルールが主流。
その中でも、センは『史上最弱・別格の弱者』ということもあって、ファミリー全員から、『とにかく、はやく死んでくれ。この恥さらしが』と言われていた。
そんな中で、唯一、『どうでもいい』というスタンスをとっていたのがカティ。
ゆえに、センは、彼女に対して悪感情は抱いていない。
シューリのように、『助けてくれた』というわけではないので、
プラスの感情を抱いているというワケではないが。
「頭と心は完全に狂っていますよ。そりゃそうでしょ。こんだけ完璧に『最低の人生』なんすから。それに、ここ数日、いろいろとありましたからね」
一度、遠い目をして、そう言ってから、
センは、カティの目をジっと見つめて、
「――ま、それはともかく、カティ姉さん、ぼくと契約して、冒険者少女になってよ」
「はぁ?」
「手柄は俺がたてるよ。姉さんは、ただ、その恩恵を受けてくれればそれでいい。地位も名誉も金も思うがまま。よかったね。というわけで、冒険者になってね」
「……あんた、さっきからずっと、マジで何言ってんの? マジで頭がイカれたの?」
「俺、目立っちゃダメなんだよね。隠密にコトを成さないといけないわけ。でも、『裏でこそこそするだけ』だと、勲章とか厳しいんだよ。というわけで、チームを創ろうと思ってさ。俺は『チームの裏方』に徹しようと思う。で、姉さんには『チームの顔』になってもらいたいわけ」
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