センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

57話 まだ終わっていない。なぜなら、ここには、まだ、俺がいる。


 57話 まだ終わっていない。なぜなら、ここには、まだ、俺がいる。

「……存在値19兆で、戦闘力もバリクソ高くて、かつ、殺しても無限に蘇生し続ける化け物か……はは……エグいね……」

 目の前の『重すぎる絶望』に対し、
 センが、つい、クラクラしていると、

 ――背後から声が聞こえた。



「だから、オイちゃんを殺しておけと、あれほど言ったのに……バカでちゅねぇ、ほんと」



 それまで黙って静観していたシューリが、
 セーフティエリアを抜け出して、センの近くまで寄ってきていた。

「まあ、いまさら言っても仕方がないでちゅけどね……こうなったら、いさぎよく、一緒に死にまちょう。ここまで頑張ってくれたお礼に、一回くらいは、あの世で、間接キスぐらい、してあげまちゅよ。光栄に思ってくだちゃい」

 などと、『達観した顔』で『諦観のジョーク』を口にした。
 生きることを完全に諦めてしまっている彼女の横顔を睨んで、
 センは、

「まだだ……」

「はぁ? なにがでちゅか?」

「まだ終わっていない……」

「いや、終わりまちたよ、完全に。相手は無限蘇生持ちの存在値19兆。対するこっちは『死にかけのブサイクなガキ』と『世界一美しいだけの美少女』の二人。完全に終わっていまちゅ」

「お前がそう思うんならそうなんだろう。お前の中ではな」

「言葉遊びを使いまわしたところで、現状は何も変わりまちぇんよ。それとも、何か起死回生の奇策でもあるんでちゅか?」

「ある」

「へぇ、どんな?」



「俺がここにいる」



「……はい?」

「俺が、まだ死んでいない……」

「だからなんなんでちゅか?」

「確かに、アダムは強い。それは事実だ。だがなぁ……」

 そこで、センは、まっすぐに、アダムをにらみつけて、





「俺より強いという程度の雑魚に、俺は負けねぇ。俺がいる限り、何一つとして、終わりはしねぇんだよ」





「え、あの……もしかして、ソレ、本気で言ってまちゅ?」

「当たり前だ、ボケが。俺は『ファニーなシャレ』を愛する小粋な男だが、その手の嘘だけは絶対につかねぇ」

「……」

「シューリ、セーフティエリアに戻れ。そして、俺がアダムを助け出すまで、二度と出てくるんじゃねぇ」

「……」


「ヒーロー見参……」


 ギリっと、奥歯をかみしめる。
 喉を振るわせて、
 魂の限り、





「ヒィイイロォオオ見参っっっ!!!」





 覚悟を叫んでから、
 センは飛び出した。

 まずは、アダムの武を知ろうとした。
 決して、ヤケクソで飛び出したわけではない。

 ――相手は、存在値19兆で、無限蘇生というチートスペシャルをもっている。
 全ての情報を、正確に理解した上で、センは、
 『どうすれば、アダムを救えるか』という思考に没頭する。

 常軌を逸した『不屈』っぷりに、
 アダムは、辟易した顔で、

「貴様、マジか?」

 呆れながら、センの攻撃を、あえて紙一重のところで回避する。
 ヒラヒラと、柳のように、センの猛打をもろともせず、

「信じられない……センエース、貴様、本当に、まだ、私をどうにかしようとしているのか?」

「当たり前すぎて返事する気にもならねぇ」

「異常だ……貴様、おかしいぞ。彼我(ひが)の戦力差を少しは考えろ……勝てるワケないだろう? 私の存在値は19兆だぞ」

「うっせぇよ。……さっきから、ずいぶんと気にしているが、数字がどうかしたのか?」

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