センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
45話 腹黒スライム。
45話 腹黒スライム。
「4日前に、私は、扉の向こうからきた」
アダムの宣言を聞いたセンは、
そこで、
「……ニー、お前、もしかして、そのことを知っていたか?」
と、自分の頭に乗っているスライムに声をかけた。
「うん!」
元気よく返事をするプニプニに、
センは、軽くイラっとしながら、
「なぜ、言わなかった?」
「聞かれなかったから。『アダムが、あの扉から出てきていたか?』と聞かれたら、『うん』と答えるけど、そんな質問は、一度もされていないから答えなかった。ニー、なにかおかしい?」
「……最初に会った時から思っていたんだが……お前、『無邪気のお面』をかぶっているだけで、そうとう腹黒じゃないか?」
「んー、どうだろうね」
「……ちっ」
一度、舌打ちを挟んでから、
センは、アダムに、
「万が一、俺がお前に負けた場合……お前は、世界を滅ぼすのか?」
「万が一ではなく、確実に、私は世界を滅ぼす。貴様程度の小神に敗北するほど、私は弱くない」
「あ、そう……」
どうしたものか、と悩んでいると、そこで、
アダムが、
「……う……ぐ……」
急に苦しみだして、
「……主上……様……」
しぼりだすような声で、
「私が……私を……抑えつけますので……どうか……今のうちに、殺して……」
うめき、くるしみながら、
「私の中にいる化け物が……あ、あなた様を傷つける前に……どうか……はやく……」
「……」
歯を食いしばって、必死に、自分自身を押さえつけ、
「……あなた様を……傷つけたくない……だから、どうか……」
『殺してくれ』と懇願する彼女に、
センは、
「すぅ……はぁ……」
据(す)わった目で、世界を睥睨(へいげい)しながら、
何度か、深呼吸をはさみ、
そして、
「――ヒーロー見参――」
覚悟を口にする。
その後、
ニっと、太陽みたいに笑って、
「アダム、大丈夫だ、心配するな。今日だけは、お前のヒーローをやってやる」
そう言いながら、武を構えて、
「世界を守るついでに、お前も救ってやるよ。なぁに、たいした手間じゃないから気にするな。俺にとっては造作もないことだ」
「……どう……して……」
疑問符を口にする彼女に、
センは、
「決まってんだろ。お前の巨乳を拝めなくなるのは、俺の人生において、とてつもない損失だからだよ」
ドスケベを暴走させていく。
そんなセンに、
「――惨(みじ)めな男だな、貴様は」
『壊れた自我を取り戻したアダム』は、
センを鼻で笑ってから、
「ビーストモードを起動」
そう宣言すると、アダムの体が、メキメキと音をたてて、化け物の姿に変形していく。
額からツノが生えて、背中からは翼が生えて、全身に、『炎をかたどった神字』のような『入れ墨』がビッシリと刻まれる。
「ご存じの通り、私の存在値は『1兆』だ……すなわち……たかが『存在値200億程度の貴様』に、私をどうにかする手段はない」
「プロパティアイで俺を見たか? ふっ、残念ながら、それはフェイクオーラによる誤情報だ。本当の俺は、お前を置き去りにした場所にいる。正確に憶えていないが、俺の本当の存在値は、確か、5~60兆ぐらいはあったはずだ」
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