センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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78話 趨勢。


 78話 趨勢。

「帝国になっていく――という意味で、その名をつけたのやもしれんな」

「こんな状態で、どうやって、他国と戦うというのだ」

「常識的な視点で趨勢(すうせい)を見るのであれば、ゾメガ・オルゴレアムは大帝国とリブレイに押しつぶされるであろう。しかし、かの王の今後に関しては、局所的な視点ではなく、大局的な視点で見届ける必要がある気がする。一目みただけだが、ワシは、かの王に、鋭い知性を感じた。あれは、『小賢しい狡猾さ』などではなく、『犀利(さいり)な慧敏(けいびん)さ』――」

「何も分からないと言っていた割には、いろいろとくみとっているようだな」

「今のは、遠目からの印象をもって、無責任に内面を分析しただけ。面と向かって話し合えば、また違った感想を抱くであろう。ただ、演説をするその姿からは、本物の風格を感じ取った。それは、ワシだけの感想ではなく、演説を聞いた民のほとんどが、そう感じていた」

「……ふん……まあ、おそろしい短時間で、一国を落として見せた知将である、という点は認めるにやぶさかではないが」

 などと、ぶつぶつ言いつつ、

「ただ、個人的な意見を言わせてもらえば、だいだいてきに『魔王』を名乗ったのは、間違いなく悪手。大帝国もリブレイも、魔人の結束と暴動を強く警戒していた。ゾメガ・オルゴレアムは、今後、何をどうしようと、両大国と敵対するしかない。相手が魔王を名乗った魔人である以上、もはや、まともな国家としては認識されない」

 大帝国の敵になるということは、
 世界中のすべての国の敵になる、ということ。

「すでに、大帝国もリブレイも、グリド王国に対する関税を大きく引き上げた。戦争に勝利する以外で、底の部分に変動が起きることはないだろう。交易において、圧倒的に不利な立場になれば、グリドのような小国は、すぐにでも干上がってしまう」

 小ばかにしたように、そう言い捨てるヒエン。

 そんな彼に、パッサムは、

「ふむ、まあ、そうだが、ゾメガ・オルゴレアムは、その点にかんしても、何か考えていそうではあった……実際のところ、今後、どう動いていくは未知数だが、最低限の予想をたてることは可能。たとえば、近隣の小国をまとめあげて、帝国と一戦を交えるという手法」

「勝てるわけがない」

「勝つことを目的とはしていないかもしれん。幸いなことに、グリドは、西大陸に位置している。大帝国は、結局のところ、東大陸にしか興味がない。もし、グリドが『正面から戦争をした場合、大帝国にも大きな損失を与える国』としての存在感を示せるのであれば、最終的には、『グリドも納得する形での講和』という終結に持っていくことも不可能ではない……かもしれん」

「……」

「ゾメガの配下になったノコ・ドローグは、王族や貴族からの評判は、『鼻につく』という理由で、すこぶる悪いが、一般民衆からの求心力は非常に大きい。ノコ・ドローグがその気になれば、それなりの兵を集めることも不可能ではない可能性がある」

「――『烏合の衆』では話にならないだろう。一般人が何万で束になってかかっても、大帝国の中位貴族一人殺せない」


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