センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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74話 バカ王子地獄サイド(7)。


 74話 バカ王子地獄サイド(7)。

(その魔人というのが、本当に、私に匹敵する力を持っていて、ノコと、あのナイト、そして、クダラと魔導師団という戦力で攻め込めば……グリドを攻め落とすことも不可能ではないか……)

 簡単ではないだろうが、実行不可能な戦力だとは思わなかった。
 グリド王国は、他国から、なかなか攻められることのない国だが、
 それは、リブレイに従属しているからであり、軍事力が高いからではない。
 軍事力という点でいえば、かなり微妙な部類。
 王族の力量はそれなりに優れているのだが、それ以外の人的資源が乏しいのが実情。
 バーサミーやバッパーなど、強い力を持つ王級の超人を抑えることさえできれば、残りの有象無象を制圧することは、そこまで難しくない。

(おそらく、すべては偶然じゃない……ノコ・ドローグは、それなりに知恵が回る小悪党。ひそかに『腹心のナイト』を鍛えるだけではなく、事前に、クダラや魔導師団にも裏から根回しして、水面下では『魔人』とも交渉していた……と、考えれば、もろもろのつじつまがあう……こうなってくると、そのゾメガという魔人は代表に過ぎず、これまで虐げられてきた『魔人たち』が集まった『部隊』の総大将、と考えた方がいいかもしれんな。『失うものがない魔人たち』が一念発起して、徒党を組み、ノコと共に一斉蜂起をたくらんだ……)

 『自分に理解できる範囲』で物事を理解しようとしているバルディ。
 バルディが、頭の中で、むりくり、現状を整理しようとしていると、
 そこで、側近ナイトのフォックが、

「殿下。これは、大帝国で上位冒険者をしている友人から聞いた話なのですが、『グリド王国が魔王に支配された』という情報を受けて、どうやら、『大帝国』が動くようです」

「なに?! 確かか?!」

「いえ、絶対ではありません。ただ、その友人いわく、大帝国は、『魔王を名乗り、全世界の不安を煽る行為は、世界の秩序維持を国家理念に掲げている大帝国に、真正面から牙をむく行為である』――と、魔王ゾメガに対して、たいそう、ご立腹らしく、そのまま放置することはありえないだろう、とのことです」

「くく……西大陸に関する面倒事に対しては腰が重い大帝国が、ついに動くか。まあ、大帝国も、昔から、魔人の革命を恐れていたからな」

「え、そうなのですか?」

「大帝国には、強烈なプライドがあるから『魔人ごときを恐れている』などとは、口が裂けても言えないだろうが、いつか魔人が反旗を翻すのではないだろうかと恐れていた……本音を言えば、私もそうだ。奴らは、最近、数を増やしていたから、余計にな」

 ゴブリンやエビルアメーバなど、クソ雑魚モンスターが進化した魔人はただのゴミだが、上位個体や、あるいは、ドラゴンや鬼などの上位種族の魔人は、純粋な人間よりもはるかに強力な力を持っていることも多く、中には、貴族級・王級の力を持つ魔人も存在した。

 それらの魔人を、各国の王族は、わけへだてなく虐げて差別した。

「……大帝国がどう動くか見物だな。……『影牢(かげろう)』あたりが動くと面白いんだが……」

 大帝国は、国の命令で設立された『魔人を狩ることを専門とした組織』が、冒険者チームとして正式に登録されている。
 その中でも、最高峰の力を持つ『十つ星冒険者』のチーム、それが『影牢』。

「く、くはは……この展開は、むしろ、僥倖といえるだろう。大帝国だけは、さすがに、私の意志で動かすことはできなかったからな。あさはかにも、魔人と手を組んだのが運のつき。大帝国を敵に回したら、さすがに、どうしようもない。これで、ノコは、間違いなく死んだな。やはり、神は存在していた……ノコ、お前は終わりだ」

 そう言いながら、心の中で、

(あのナイトは、奇妙な魔法が使えるようだが、しかし、単騎でいくら力を持っていようと、大帝国には敵わない。クダラと魔導師団を味方につけ、グリドを拠点とし、魔人の協力を得た……確かに、ここまでの革命は順調だったな。だが、そこまでだ。大帝国の強大さの前では、貴様がコツコツと築き上げてきたものなど、塵芥(ちりあくた)にひとしい)


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