センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
73話 バカ王子地獄サイド(6)。
73話 バカ王子地獄サイド(6)。
「グリド王国が滅んだ? ど、どういうことだ? いったい、何があった?」
バルディ王子は、愕然とした顔で、
側近騎士のフォックにつめよる。
「魔王ゾメガ・オルゴレアムの手により、王族は一人残らず滅ぼされ、今は、そのゾメガなる魔王が、グリド王国を力で支配している……ということらしいです……」
「なんだ、そのふざけた話は……というか、なんだ、魔王って……ナメているのか?」
「正直、私もよくわかりません。ただ、そういった内容が記された外交文書が、正式国書として各国に送られております」
「……偽造の可能性は?」
「国璽(こくじ)は紛れもなく本物です。……その点から鑑みて、少なくとも王城は占拠されているものと推測します」
「……」
バルディの不幸は終わらない。
センエースを怒らせた彼に、明るい未来は存在しない。
「魔王というのは、アレか? 物語なんかでよく見る……魔物の王か? まさか、異世界から召喚されたとでもいうのか?」
「国書によると、ゾメガなるものは、『強大な力を持つ魔人』であり、その力は、バルディ殿下を超えている……と」
「……魔人……魔人ねぇ……なるほど……ついに、魔人が反旗を翻したわけか……」
モンスターが『魔人』に進化する、という話は、そこまで珍しい話ではない。
見た目は人間とほぼ同じ。
『肌の色がじゃっかん異なる』のと『純粋な人間より高い魔力を持つことが多い』という二つの確定的な特徴を持つが、それ以外は、ほぼ人間と変わらない。
魔人は、ほぼ人間と変わらないのだが、
しかし、人から産まれたわけではなく、
モンスターから進化したということで、
かなりの差別を受けており、
基本的には奴隷になるか、殺されるか、その二択しかない。
そのため、昔から、
『いつか魔人が反旗を翻して、人間に牙をむくのではないか』と懸念されていた。
『魔人を人間として扱おうと動いた国』などもあったのだが、
差別意識と選民思想の塊であるリブレイと大帝国が反対したため、
結局、魔人が差別を受けるという環境に変化が起こることはなかった。
差別やイジメは、カースト上位者の優越感を満たす行為。
他者を貶めることで、自身の優位性を再確認できる娯楽。
そこには、性行為やギャンブル等に匹敵する快楽が伴う。
だからなくならない。
どんな時代においても、決してすたれることなく蔓延し続ける。
「魔人の天才型であれば、それなりに高い性能を誇るだろうが、しかし……よくもまあ、『私を超えている』などと、大ボラを吹けたものだ。私以上の力などありえん」
そう言い捨てるバルディ。
そこで、フォックが、
「さらに、国書に記載されている情報によりますと……その召喚された魔王は、ノコ・ドローグを受け入れ、公爵としての地位を与えたようです……」
「……な、なにを……言っている……? なぜ、グリドを滅ぼした魔人が、ノコを……いや、待てよ……そうか……ノコと魔人が手を組んで、グリドを滅ぼしたということか……」
そう言いながら、心の中で、
(その魔人というのが、本当に、私に匹敵する力を持っていて、ノコと、あのナイト、そして、クダラと魔導師団という戦力で攻め込めば……グリドを攻め落とすことも不可能ではないか……)
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