センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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63話 願い玉。


 63話 願い玉。

「父上……『願い玉』を使います。よろしいですね?」

 パラミが、そう言ったことで、
 はじめて、センの表情に、『余裕』以外の色が宿った。

(願い玉? なんで、パラミがソレを持っている?)

 『願い玉』というアイテムに関する知識はある。
 どんな願いでも叶う可能性があるが、
 叶える願いが大きければ大きいほど壊れやすくなり、
 願い玉が壊れると、使用者は闇につつまれる。

(グリド王国に願い玉があるなんて話は聞いたことがない……)

 と、不審に思っていると、
 パラミは、

「収容空間ランク20」

 空間系の魔法を使った。
 収容空間は、簡単に言えば、
 『人間を保存できるアイテムボックス』みたいなもの。

 パラミは、そこから、ボロボロのオッサンをひきずりだすと、
 今度は、アイテムボックスに手を伸ばし、願い玉を取り出すと、
 ソレを、オッサンにムリヤリ押し付ける。

 そして、パラミは、オッサンの耳元で、なにかをボソっとつぶやいた。
 と同時、

「センエースを殺してほしい!」

 と、そう叫んだ。
 そのオッサンは、直後、

「こ、これで、解放されるんですよね?! 私の横領の罪をなかったことにしてくれるんですよね?!」

 と、パラミに泣きつくようにそう言った。

「ああ、解放されるさ。私が手をくだすまでもなく、貴様は解放されるはずだ」


「え、それは、どういう……」


 と、その時だった。
 オッサンの体が、どんどんドス黒くなっていく。

「うぶっ……うおぇっ……」

 真っ黒に、真っ黒に、真っ黒に、
 時間経過とともに、より深く、黒くなっていく。

 その様子を見たパラミは、

「……願い玉のリスクは知っていたが、まさか、これほどまで重たいとは……いや、まさか……センエースの殺害という願いが、それほどまで重たいということか……?」

 『願い玉を使う時のため』の『生贄』を用意しておいてよかった、と心から思うパラミ。


「うぶぐぉぇええええええっ!」


 漆(うるし)でも塗ったかのような、テカテカの真っ黒になったオッサンは、
 そのままドロドロに溶けて、地面に魔方陣をえがきだした。

 それを見て、センは、

(……凄まじい魔力のジオメトリ……あそこまで強大な魔方陣は見たことがない……)

 久しく忘れていた『純粋な恐怖』がこみあげてくる。
 存在値600を超えたころから、
 『外敵に恐怖する』という感性を失っていたセン。

(俺はカンストに届いている……俺より上の化け物は存在しないはずだが……っ)

 そう思いながらも、

(まあ、もし、今から出てくる何かが、俺を超えていたとしても関係ない。ノコの敵になるというのであれば、全力を持って排除するだけ……っ)

 心にガツンと気合を入れて、
 これから何が起こるかを見つめていたセン。

 そんなセンの前に、現れたのは、

「……ぷはぁ……」

 深く息を吐き、吸って、また吐いている深い魔。
 見た目は、いかにも魔人と言った感じで、
 世界中のすべての『邪悪』を集めて煮詰めて人型にしたかのよう。

 見た目も恐ろしいが、なによりも中身。
 信じられないほどの膨大な魔力。
 センは奥歯をかみしめながら、

(……これは……すごいな……この10000年間の中で、強大なモンスターは、飽きるほど見てきたが……こいつは……別格だ……)


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