センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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59話 もっと、じっくりと痛めつけていけ。


 59話 もっと、じっくりと痛めつけていけ。

「お兄様!」

 と、パラミの様子を心配しているラミルの足を、

「きゃああ!」

 死角にしのんでいたネオ・ヘルズ覇鬼5号が、華麗にきりとばした。
 鬼らしい非常に荒々しい剣なのだが、どこかで流麗さを感じさせる。
 ただ狂暴なだけではなく、芯の通った深みのある強さを感じさせる。

 すでに王族側の戦線は崩壊している。
 彼・彼女たちでは、ネオ・ヘルズ覇鬼2体を同時にすることも厳しいレベル。

 それなのに、8体も同時に相手しているのだから、
 戦線が持つわけがなかった。

 実力が近しい場合における『数の暴力』はハンパじゃない。

 ちなみに、まだ誰も死んでいないが、
 それは、センが、そのように命令しているから。

 センは、後方から呑気に、

「ネオどもぉ、そいつらを殺すなよぉ。じっくりと痛めつけていけぇ。おい、3号、気をつけろ! 首から上は絶対に攻撃するな! 死んでしまうだろうが! 6号、心臓付近に攻撃するのもやめろ! 人間はもろいんだ。――お、5号、いいぞ! お前は、いろいろとわかっている。その調子で、下半身からせめていけ。局部をいくら攻撃しても死なないが、大きなダメージは通る」

 と、非人道的な命令をくだしている。
 この状況だけを切り取ってみれば、
 完全にセンが悪役だが、
 グリドの王族連中が、これまで民に敷いてきた圧政を考えれば、
 この程度は、まだまだ手ぬるい。

 ネオ・ヘルズ覇鬼8体が召喚されてから5分ほどが経過したところで、
 バーサミー王が、

「も、もうわかった! ノコ・ドローグのナイトよ! は、話を聞こう! 鬼どもを下げてくれ!」

 と、交渉のテーブルにつく構えをみせた。

「貴様の覚悟と力は理解した。どのようにして、超王級の化け物をこれだけ用意したのか、皆目見当もつかんが、それだけの無茶を成さざるをえないほど、我々に伝えたいことがある、と言うのは、よく理解できた」

 あくまでも上位者の姿勢を崩さないバーサミー王。
 その『状況がまったく見えていないトンチンカンな思考』を面白く思ったセンは、
 ためしに、いったん、ネオ・ヘルズ覇鬼を消して、話し合いの姿勢を見せる。

 そんなセンの行動を受けて、
 バーサミー王は、襟(えり)を正して、

「リブレイの意図を聞こう。従属を要求するのであれば……不本意ではあるが……したがおうではないか」

「父上っ」

 何か言いたそうなパラミをおさえて、
 バーサミー王は、

「だが、自治権の一部は認めてもらいたい。これまで以上の税と、人的資源の提供は約束させてもらうが、しかし、王族の解体はゆるしていただきたいのだ。われわれを管理者として残っていた方が、リブレイとしても有益だろうと断言できる」

 話を聞いたセンは、
 ゴミを見る目で、

「国民のことは好き勝手してくれていいが、自分達が甘い汁を吸える部分は残せ……と、そう言っているようにしか聞こえないんだが、その認識は間違っているか? ちなみに、言い訳や虚言を口にした場合、交渉は打ち切らせてもらう」


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