センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

50話 せまりくる最強。


 50話 せまりくる最強。

「間者の報告によると、兄上を殺したのは、ノコ・ドローグのナイト『センエース』。リブレイから送られた資料によると、存在値200程度の『どこにでもいる平均的なナイト』とのこと。その程度の雑魚が兄上を殺せるとは思えません」

 第二王子パラミがそう言うと、

「絶死のアリア・ギアスでも使ったか?」

 と、国王の『バーサミー』がボソっとつぶやく。
 絶死のアリア・ギアスは、『死』と引き換えに『リミッター』を外すという、世界との契約。

 王の言葉を受けて、パラミが、

「絶死を使えば、確かに、一瞬だけ、存在値を底上げできますが、しかし、潜在能力以上の力は出せません。たかがナイトに、そこまでの可能性が秘められているとは、とても思えません」



「兄さま、わたくしの間者からの方向によると、王城に異次元砲を叩き込んだのも、そのセンエースとかいう下賤(げせん)の者らしいですわ。あれほどの異次元砲を放てるのは、ナイトの領域から、おおはばに逸脱しております」



 パラミの妹『ラミル』が、怒りをあらわにしながら、

「これは、もしかしたら、リブレイの侵略では? 『ノコ・ドローグが離反した』という虚偽の噂を流した上で、『隠し持っていた高位戦力』をグリドに送り込んだ。その高位戦力がグリドを滅ぼしたとしても、リブレイは関係ないと言い張る。……そういう算段だと考えれば、もろもろのつじつまも合いますわ」

「昨今の状況で、リブレイが、グリドを狙う意味はないが……」

「リブレイは強欲です。東大陸の大帝国にまで手を伸ばすため、グリドを完全に支配下におさめようとしているのでは?」

「かの国は、そこまで愚かではないと思いたいが……しかし、完全に否定はしきれないな……」

 などと、話し合っている時のことだった。

 ドガァアアアンッッ!

 と、豪快な音が、玉座の間に響き渡った。

 ダイナミックに登場したのは、
 男2人、女2人の少数パーティ。

 その中の一人、黒髪のナイトが、

「やるじゃねぇか、トワネ。お前は、間違いなくクズだが、能力だけは、悪くない。今後も生きていたければ、もっと、己の存在価値を示しつづけろ。そうすれば、飼い殺しにしてやる」

「はぁ……はぁ……」

「どうした? 返事をしろよ。言っておくが、お前は、もう用済みだから、殺してもかまわないんだぞ」

「っ! こ、光栄です! ぜひ、飼い殺してください! お願いします! ぶっ、おえっ……はぁ、はぁ……」

 ここにくるまで、グリドの兵隊数万を、
 ほぼ一人で壊滅させてきたトワネ。

 『命の危機』という極限状態に陥ったことで、
 『彼女の中に眠っていた才能』が開花した。

 王族ほどではないが、彼女も、相当な潜在能力の持ち主。

 目覚めたトワネは、必死になって、グリドの兵隊と戦った。
 後先考えず、とにかく、目の前の敵を魔法で殲滅する。
 それを、ひたすらに繰り返し、センたちをここまで連れてきた。

 そんな、トワネの姿を見て、グリドの王である『バーサミー』が、

「――そなたは、我が子バッパーの婚約者、ブルムンド侯の娘だな。そこにいるナイトは、そなたの婚約者である我が子を殺した稀代の大犯罪者である。その賊(ぞく)にシッポをふるとは……いったい、なにごとだ」


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