センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
42話 かたい絆で結ばれたベストカップル。
42話 かたい絆で結ばれたベストカップル。
「言わなくても分かっていると思うけれど、私に手をだしたら、王子が黙っていないわよ。私は、王子に愛されているから。私たち、ものすごく相思相愛なの。かたぁい絆で結ばれた運命のベストカップルなのよ」
だからこその自信。
王子の武力を、完全に自分のものだと認識しているトワネ。
「センエース、あなたは、それなりに強いみたいだけれど、さすがに、王子には勝てないわ。バッパー王子は、リブレイのバルディ王子と並ぶ剣の達人。決して逆らってはいけない本物の超越者。私は、そんな王子の婚約者トワネ・ブルムンド。もうこれ以上、言葉はいらないわね? さあ、ひざまずいて、忠誠を誓いなさい。あなたをナイト兼ペットとして飼ってあげるわ」
「ははは……ほんと、ノコとは、えらい違いだな……まあ、貴族なんてものは、たいがい、こういうヤツばっかりで、ノコみたいなやつのほうが、圧倒的に少数派なんだが……」
そう言いながら、センは、拳にオーラをこめて、
「とりあえず、『そのガキ』を足蹴(あしげ)にするのをやめろや。見てて、気分が悪いから」
吐き捨てるようにそう言うと、
センは、瞬間移動で、距離をつめて、
パンッ!!
と、トワネの顔面に、軽いジャブを入れた。
セン的には、だいぶ軽めだったのだが、
「きゃあぁあああっ!!」
鼻をへし折られて、後方に吹っ飛ばされたトワネからすれば、デカイ事故にあったようなもの。
壁に激突して、ズキズキする背中。
ドクドクと鼻血を垂れ流し、激痛にたえる。
こんなことは人生においてはじめて。
これまでの人生、ずっと、蝶よ花よと、大事に育てられてきた。
『貴族社会の中における女の闘争』というドロドロした戦場でシノギを削ったことはあるが、『物理的に骨身を削る殴り合い』などは未経験。
トワネは、右手で鼻血を拭きながら、
「……あ……あ……う、うそ……でしょ……私は、トワネ・ブルムンドよ……グリド王国の侯爵令嬢で、バッパー第一王子の婚約者なのよ……そ、その私を……殴った? うそでしょ? そんなわ……け……」
そこで、トワネは、自分の手についた鼻血をシッカリと確認する。
真っ赤で、どろどろしていて、鉄のにおいがした。
「う、うぅううう! み、見なさいよ……鼻……折れているわ……っ! 私の鼻ぁあああ! 血ぃいいい!」
最初は、あまりに現状が不条理すぎて、動揺するばかりだったが、
だんだん、自分の現状が理解できてきたのか、
『困惑』よりも『憤怒(ふんぬ)』の方が勝ってきたようで、
「ふざけるんじゃないわよぉお! こ、この私にぃいいいい! 手をあげるなんてぇえええええ!! バカじゃないのぉ!!」
叫びながら、
トワネは、右手に魔力を圧縮させていく。
彼女も、貴族級の力を持っている。
その気になれば、そこらのナイトぐらいは一撃で殺せる。
「絶っっっ対に許さなぁあああああい! 私を殴ったその罪は、万死に値するぅう! 死ねぇええ! 氷獣牙(ひょうじゅうが)ランク12!!」
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