センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)
39話 弟子にしていただきたい。
39話 弟子にしていただきたい。
『10000年』をかけて磨き上げてきた『高次の武』をブロールに伝えようとしているセン。
そんな彼に対し、ブロールが思うことは、
(まずい……何も届かない……私の武は……この男の前では、枯れ葉のようなもの……)
ブロールからしたら、受け攻めが、まったく噛み合っていない。
小技だけで、綺麗に崩されて、気付けば足元がフワフワしている。
――センは、
「焦りは伝染する。不運は感染する。ノイズは気付きを殺していく。そのスパイラルから抜け出せれば、一つ上の次元に行ける」
そう言いながら、
ヌルリと、ブロールの足を払った。
「うぉっ!」
足をさらわれたブロールが、地面に落ちるまでの間に、
「――逆気閃拳――」
センは、
芯の深い一撃で、
ブロールの腹部に拳を叩き込んだ。
「ぐはぁあああああっっ!!」
すべてが逆流するような一撃だった。
その拳を受けたことで、
ブロールの中で変革が起こる。
「ぐっ……ぐふぅう!」
血を吐きながらも、しかし、
ブロールは、すぐさま、体勢を立て直して、
「……げほっ……ぐふっ……はぁ、はぁ、はぁ……」
息を整えると、
「……センエース……様。信じられないほどの高みに至った真なる強者よ」
そこで、激痛に耐えながら、おごそかに、
片膝をついて、
「――私を……あなた様の弟子にしていただきたい」
懇願する。
もはや、闘う意味はないと悟った。
正式に言うのなら『アブライ・ファミリーの用心棒』として、センと向き合う意味はないと認識したのである。
センエースほどの男と向き合うのに、『アブライ・ファミリーの用心棒』という肩書を背負っているのは、あまりにも無礼がすぎる。
「……私は……強くなりたいのです……」
ブロールは、ずっと、『強さ』を求めてきた。
その『理由』は一つ。
――この腐った世界を正すため。
ノコとセン以外にも、
この『どうしようもない世界』をどうにかしたいと願っていた者は存在している。
ブロールは、アブライ・ファミリーに潜入し、
アブライから提供される環境を利用して、シッカリと力をつけようと考えた。
最短距離を突き進むため、『マフィアの用心棒になる』という、
ブロール的には『もっとも気に入らない手段』をとった。
その覚悟は、アリア・ギアスとして昇華され、ブロールを磨く糧となった。
アブライを利用して、十分な力をつけたあかつきには、
内部から、すべてを喰らい尽くすつもりでいた。
――だが、もうそんな必要はなくなった。
ブロールは、光を見つけた。
「ブロール、お前に、俺の全部を叩き込む。すべて、完璧に吸収して、俺と同じ領域に並べ。それが、お前を、俺の弟子にするための条件だ。のめるか?」
「……あなた様と同じ領域に立てるかどうかは分かりません。しかし……たどり着くための努力を惜しまないと誓います」
「良い覚悟だ。――ちなみに、お前を弟子にするための条件は、もう一つある。俺の命令には絶対服従。誓えるか?」
「師の命令は絶対。当たり前の話です」
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