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23話 ノコとエキドナとヒキーレの対話。


 23話 ノコとエキドナとヒキーレの対話。

 ここは、センが魔法で創った森の豪邸。

「ノコ様の護衛を任されることになりました。魔導師団隊長ヒキーレ・ストレンジです。これから、よろしくお願いします」

 センの配下となったヒキーレは、この組織の『正式なトップ』である『ノコ』に挨拶をしていた。

 ちなみに、現在、センは、『新たな戦力』と『地盤』を確保するため、
 単身で、『グリド王国』に殴り込みにいっている。

 『グリド王国を丸ごと飲み込んでくる』などと言っていたが、実際のところ、センが何をするつもりなのかを知っている者は、この場に一人もいない。
 ただ、センならば、グリド王国を叩き潰すぐらい造作もないだろう、と誰もが思っていた。

 グリド王国も、それなりの武力を持つ国だが、
 センの強さは、あまりにケタが違いすぎる。

 ――『ヒキーレの挨拶』を受けたノコは、
 穏やかな口調で、

「魔導師団の強さは、よく耳にしていたわ。『武力で西大陸を掌握したリブレイ王国』の軍の中でも『最強格の広域殲滅役』と名高い超高火力部隊。その魔導師団の中で一番優れた力を持つあなたが護衛についてくれるなんて、ほんとうに光栄だと思っているわ」

「……一番はガルム元隊長です。私は、あくまでも、サポート要員の副隊長で……」

「あなたが部隊全体をサポートしていたから、バカなガルムでも活躍できていたんでしょう? 魔導師団の中で、もっとも総合力に優れているのは、間違いなくあなた。あたしが、それに気づいていないとでも? もしかして、あたしの目を節穴だと思っている?」

「いえ……ただ、過大評価を受けても、それに応えることが出来ないもので」

「ウワサ通り、かなり控えめな性格みたいね」

 ノコは、以前、ヒキーレと、彼の妻の病気を治している。
 つまり、一度会っているのだが、あの時は、クソ忙しすぎて、会話等はできていない。
 だから、彼の『細かい性格』に関しては噂レベルでしか知らないのである。

 ――ちなみに、ヒキーレは、『攻撃魔法使い』としても有能だが、
 それ以上に、『サポート型』としての性能がズバ抜けて高い。

 『魔法攻撃力』という一点だけで言えばガルムの方が上だが、
 それ以外のすべてにおいて、ヒキーレはガルムを超えている。

 『もともと性質がサポート型である』という点と、
 『まえに出るのを嫌う日陰型の性格』のせいで、
 副隊長という役におさまっていたが、
 実力・潜在能力だけで言えば、
 ヒキーレは、リブレイの中でも、最高峰の可能性を持つ天才。


「ウチのセンも、ちょっとだけ、あなたと似たような性格をしているわ。おかげで、すごく困っているの。ガルムや、バルディみたいな『自信過剰すぎる迷惑バカ男』と比べれば遥かにマシだけれど……あなたやセンみたいに、自己評価が低すぎても、こっちとしては対処に困ってしまうのよね」


 そこで、エキドナが、

「……『センエース』は……自己評価が低いのですか? 私と戦った時の彼は、自信に満ち溢れているというか、『絶対者としての輝き』に包まれていましたが」

「敵と対峙している時のセンは、常に堂々としているわ。特にあたしがそばにいるときは、たとえ、相手の方がはるかに強い時でも、あたしを心配させないように、誰よりも強く虚勢を張る」


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