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19話 アリア・ギアス。


 19話 アリア・ギアス。

 ゆがんだ自己中を叫びながら、
 勢いに任せて、センを殴りつけたエグゾギア・ガルム。

 ガルムの魔力によって高い出力を出せているエグゾギアの一撃。
 高位の力を持つ王族であれ、その一撃には耐えられないだろう。

 そんな強烈な攻撃を、センは、黙って受け止めた。
 避けるでもなく、受け流すでもなく、
 黙って、ガルムに殴られてやるセン。

 ――ガルムは、『間違いなくセンを殺した』と思ったが、
 しかし、センは、

「……救えねぇな、お前」

 冷淡な声で、そうつぶやくばかり。
 ダメージなど負ってはいない。
 ガルムの攻撃など、そよ風程度にしか感じない。

「さすがに、ここまでバカだとは思っていなかった。お前は……いらない」

 もはや、完全に、『ガルムを見捨てる』と決めている顔だった。

「なっ……なんでだぁぁああああああ?! これだけのパワーで殴られておいて、ど、どうして、無傷でいられる!!」

「俺は、てめぇが想像している100倍ぐらい『高いところ』にいるから」

 そう言いながら、
 センは、

「――閃拳――」

 ガルムの腹部に、オーラを込めた拳を叩き込む。
 自分の名前を込めた必殺の拳。
 10000年間、ひたすらに磨きぬいてきた最強の技。

 閃拳には、
 『自分の名前がついた必殺技を口にしないと発動しない』、
 という『アリア・ギアス』が込められている。

 アリア・ギアスは、覚悟を力に変えるシステム。
 『自分の名前がついた恥ずかしい必殺技の名前を口にしないと使えない』という覚悟を背負うことで『通常ではありえないほどの火力』を出せるようになる。



「――ぐぶふぉおおおおおおおおおおお!」



 一発で、エグゾギアの装甲を削り切ったセン。
 エグゾギアの外殻は、パラパラと粒子状になって解けていく。

 完全破損状態になってしまうと、再度使えるようになるまで、数時間のクールタイムが必要となる。

 『殴られた腹』を抑えて、苦しそうに呻き声をあげているガルムに、
 センは、

「ガルム……お前、捕虜にした他国の女を犯して遊んでいただろ。俺はそういうのが、本当に嫌いなんだが、ノコを守ると約束するのであれば、我慢して雇用してやるつもりだった。けど、お前は、その権利を放棄した。チャンスは十分にくれてやった。もう、選択肢は与えない」

「う、ぅう……ま、待て……わ、分かった……力を貸してやる……お前を認めてやる……」

 ガルムは、
 このごに及んで、

「エキドナだ……エキドナを、私にあてがえ……そうすれば、本気で、貴様の命令を聞いてやる。あの冷たい目をした女を屈服させるのが夢だった……その夢が叶うのであれば……リブレイを裏切ってやってもいい……あの女一人をあてがうだけで、私を得られるんだ。これ以上の条件はないだろう?」

「……」

 センは、一度、深いタメ息をついてから、
 ガルムの首を掴んで、

「もう、しゃべるな」

「うげぽっ!!」

 キュッっと、ひねりあげて、首の骨をへし折ると、

「……」

 ガルムは、静かになった。

 センは、ガルムの死体を持ちあげて、
 魔導師団の面々に見せつけながら、

「本来であれば、エグゾギアは、『ノコを守るという意志』がなければ使えないように、リミッターをつけているんだが、『ガルムに渡していた間』だけは、特別に『ノコを守る意思』がなくとも使えるようにしてやっていた。エグゾギアは強力なアイテムだが、当然、俺には通じない」

 前提を並べてから、

「……俺は、こいつみたいなバカが嫌いだ。目に焼き付けておけ。ふざけたマネをすれば、お前らもこうなるぞ。ノコは優しいから、お前らが失態をおかしても許すだろうが……俺はそうじゃない」

 センの冷たい目に震える一同。
 センが守ろうとしているのはノコだけ。
 ノコの邪魔になる者は容赦しない。

 そんなセンの想いを正しく理解した一同は、
 絶対に、ノコとセンには逆らわないようにしようと心にかたく誓った。

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