センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

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16話 家族を守るため。


 16話 家族を守るため。

「お前も……あのクソ王子も……おかしいぞ、ほんと……」

 想いをこぼしたセンの言葉など、
 ガルムは、わずかも聞いていない。

「た、助けろぉ! くるしい! し、死んでしまう!」

 などと叫んでいるガルムに、
 冷たい目を送るだけのセン。

「……お前とは、あとで話そうか。今は、ちょっと黙ってろ」

 そう言って、センは、ガルムの腹部を踏みつけた。

「ぶふぅう!」

 ガルムは、盛大に吐血して、
 そのまま失神してしまった。

 静かになったところで、
 センは、ガルム以外の、魔導師団の面々に視線を向けて、

「ガルムと同じ目にあいたいやつは、遠慮せずに、かかってこい。この中にも、何人か、病気にかかったヤツはいるだろう。あの時と同じ苦しみを味わう……それだけの話だ。たいしたことじゃないだろう? そう思っていなければ、ノコを殺しにくるなど出来るわけがない」

 センがそう言うと、
 魔導師団の面々は何も言えずに押し黙る。

 その中の一人副隊長の『ヒキーレ』が、

「私は……来たくなかった……けれど、殿下の命令に逆らったら……妻を殺されてしまう……」

 ポツリと、そう言った。
 そんなヒキーレに、センは言う。

「つまり、お前は、『家族の命』が保証されてさえいれば、バカ王子の命令に従う気はない、と、そういうわけか?」

「……と、当然だ! 私だって、ノコ様には感謝している! 私の命だけじゃなく、妻の命だって……ノコ様には、救っていただいたんだ……」

「じゃあ、これから俺がつくる国にこい」

「……ぇ」

「これから俺は、『カスみたいな王族』の顔色をうかがわなくても、まっとうに生きていける国をつくる。そこに移住しろ」

「……リブレイ王家に逆らった国は、ことごとく滅亡させられてきた。この西大陸では、リブレイに逆らうことはできない」

「なら、俺に逆らって死ぬか? 別に、どっちでもいいぞ。自分で選択しろよ」

「……」

「ノコに牙を向けるやつを俺は絶対に許さない。前提をハッキリさせておくが、今、お前らはノコを殺しにきている。お前らを殺すことに俺は躊躇しない。こうして、交渉してやっているのは、お前らに『力』があるのは間違いないからだ。これから、俺は、『ノコを守るための国』と『絶対にノコを守れる世界最強の軍』を作り上げていく。その一部になると誓うのであれば、『ノコを殺しにきた』という、そのありえない大罪を、一度だけ、許してやる」

「……」

 ヒキーレは、一度、押し黙ったが、
 ギリっと奥歯をかみしめてから、
 背後にいる部下たちに、

「お前たち、下がれ。絶対に手を出すな。これは副隊長としての命令だ」

 と、正式に命令をくだしてから、


「……一騎打ちの決闘を申し込みたい」


「別にいいけど、理由は?」

「私は、妻を守るために、常に最善の選択をしなければいけない。ただのギャンブルは出来ない。だから、賭けるべきは、君なのか、それとも、リブレイなのか……それを見極めさせてもらいたい。もし、君が、その大言壮語(たいげんそうご)に見合うだけの実力を持っているのであれば……すべての非礼を心から詫び、君の足元にかしずこう」

「かしずく相手は俺じゃない。ノコだ。大事なのは、常にノコ。俺のことは、『ノコが持っている剣』だと認識しろ」

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