センエース~経験値12000倍のチートを持つ俺が200億年修行した結果~(コミカライズ版の続きはBOOTHにて販売予定)

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

後日談 最終話。


 後日談 最終話。

「………………あなた様には敵いません」

 と、小さな声で、ボソっとそう言った。
 ちなみに、心の中では、

(やっべぇ……セン様にまで誤解されるのは……ちょっと問題だよなぁ……けど、こんなにまっすぐ褒められているのに、否定するってのもなぁ……んー、しゃーない……セン様の前では、なるべく、気高い人間っぽく振舞おう……)

 と言った感じで、今後『上司の前では猫をかぶる』と決めた超苺。

 そんな超苺を尻目に、
 センは、心の中で、

(超苺のやつ、だいぶいいなぁ……蝉原の弟子とは思えないほど、清廉でまっすぐな男……高潔って言葉は、こいつにこそふさわしい……うまいことやれば、『周囲から【尊い】を連呼される役』を、超苺に押し付けられるかもなぁ……まあ、どうすれば、うまいこと、押し付けられるのか、さっぱり、思いつかないが……)

 ちょっと考えてみたが、
 アホのセンでは、いい方法など、サッパリ思いつかなかった。

 なので、

(まあいいや。その辺はおいおいで……それはともかく……)

 そこで、センは、超苺にまっすぐな視線を向けて、

「超苺。お前は、今後も、そのままでいろ。蝉原と違って、お前になら、安心して任せられる」

 蝉原の場合、命令という鎖で縛り付けていないと話にならないが、
 超苺の場合、普通に信頼できると思った。

 それほどまでに、センは、超苺を信用したわけだが、
 しかし、当の本人は、


(え、いや、俺なんかに任せられても……こういう責任がある管理職みたいなのは、ぜったいに、俺以外に任せた方がいいと思うんだけど……)

 と、思っていたが、しかし、

(でも、まあ……セン様に言われたら……やるしかないんだよなぁ……はぁ……)

 超苺が責任の重さに押しつぶされそうになっていることなど知る由もないセンは、

(蝉原だけに世界征服を任せると、色々と厄介なことが起きるかもしれない、と不安な部分もなくはなかったけど、超苺がいるから、放置していても大丈夫だろう。これからは、自由にやらせてもらおう)

 こうして、センは自由な道を歩む。









 ――そんなセンを、
 『遠く』から観察している『存在』がいた。

 『認知の領域外』から、ずっと、センを観察していた『ソルA』は、

(あれは、センエースではないですね……)

 心の中で、ボソっとつぶやく。

(あんなものをセンエースと呼んではいけない……あれではダメだ……)

 センに対して……
 というか、『センエース・ヌル』に対して、
 ソルAは、

(ソルⅮは、蝉原しか見ていない……確かに蝉原の成長は大事ですが、だからといってセンエースを記号のように扱うなど言語道断……)

 そうつぶやきながら、
 自分が管理している『虚数アルファの24』の調律を行っていく。


(……『オメガの心残り』を、そのままぶち込んだ『A型センエース』……こちらも、本質的な意味では、とてもセンエースとは呼べない代物ですが、『器』としては、なかなか悪くない仕上がりになりました……うまい具合にヌルと共鳴してくれればいいのですが……はたして、どうなるか……)

 あらかたの調律はすでにおわっている。
 残るは最終チェックのみ。

(正直、このまま『ヌルのぬるま湯』が続くというのは、耐えがたいものがありますからね……ヌルは、しょせん、『ただの養分である』と理解していますが……しかし、疑似とはいえ、『センエースの名を冠する者』の無様は見たくない……センエースは、もっと美しい……)

 心の中で、そんなことをつぶやきつつ、
 最後の最後の最終調整を終えると、
 ソルAは、

「……さて、どうなりますかねぇ……単なる『蝉原の養分』で終わるのか、それとも、『何かしらの輝き』を見せてくれるのか……願わくば、輝いてもらいたいですが……はたして……」

 最後に、そうつぶやいてから、

 ――『セレナーデ・アンサーソング』の幕を開けた。


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